暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
るんって来たああああああ!
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「るんって来たあああああああ!」

 そんな大声に、ハルトはジャグリングのピンを掴み損ね、頭にぶつけた。

「痛っ!」

 結果、見滝原中央駅、噴水広場。
 もとより、ハルトのような大道芸人が時々集まっているらしく、ハルトの他にもぽつぽつと芸を披露する者たちがいる場所。その、駅前という絶好の大道芸スポットで失敗するという憂き目を見た。

「な、何だ……?」

 ハルトは口を尖らせながら、突然大声を上げた相手を見上げる。
 顔をぐいっと近づけてくる、目をキラキラさせた少女。紺色のチェックの上着と、水色の髪が特徴の彼女は、遠慮もなしに続ける。

「ねーねー! それ、どうやったの?」
「どうやったって……ジャグリングのこと?」

 ハルトは足元に散らばったボウリングのピンを拾いながら尋ねる。
 すると、少女は元気よく頷いた。

「そうそう! すっごいいっぱいやってたからね!」
「まあ、俺が用意したものだけじゃそんなにパンチないだろからね」

 ハルトは足元に設置したホワイトボードを見ながら言った。ハルトがコネクトの魔法で持ってきたホワイトボードには、「ジャグリングしてほしいものがあれば何でも投げ込んで下さい」と記してある。

「まさか自転車投げ込んでくる人がいるとは思わなかったけどね」
「見てたよ! あの自転車もグルグル回して、ほんっとうにるんって来た!」
「る、るん?」
「そうそう! お兄さんの、すっごいるんって来た!」

 意味不明な言葉を並べ続ける少女。彼女はさらに続ける。

「ねえねえ、もっと見せて! もっといろいろ見せて!」
「い、いいけど……ちょっと君、近い近い……」

 見知らぬ人に対しての距離感ではない。女の子がこんなことでいいのかと思いながら、ハルトは少女の肩を押して距離を取る。

「ねえねえ! 教えて教えて!」
「はいはいはいはい、落ち着いて落ち着いて」

 ハルトの言葉に、少女は動きを止めた。

「お、本当に止まった。犬みたいだ。よし、ちょっと犬っぽいことやってみようかな」
「ねえねえ!」
「五秒満たなかった!」
「ハルトさん!」

 その時、駅周辺を探し回っていたココアが駆けつけてきた。

「ゴメン、ハルトさん!」

 彼女は息を切らしながら、こちらに走ってくる。
 姉を迎えに駅まできたが、ずっと探し回っていた彼女。どうやら見つからなかったようだ。

「お姉ちゃん、やっぱり駅にはいないや。もしかしたら入れ違いになったの……かも……」

 ココアは少女の存在を認めると、徐々に声を小さくしていく。そして、指を指しながら、何やら声を出そうとした。
 だが、その前にハルトは弁明しようとする。

「ま、待ってココアちゃん! 何やら誤解
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ