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「今日の人、めっちゃ怖かった。いつも、間違っても、ニコッとして、ごめんなさいって言ったら、OKなんだけど、今日は、笑ってないで、もっと真剣にやりなさいって怒られちゃった」
実習から降りてくるなり、僕に言ってきた。確かに、あの教官は厳しい。僕も怒られた。
「モト君、ウチにかまわず、先に行ってね ウチ、遅れそう」
「絢には珍しく弱気じゃん」
「うん ウチ、運動神経悪いから、ああいうの苦手やねん」
「まぁ それはそれで、そうなったときや」
「モト君 うち、まだ、相談あんねん」
「どうした 急に」
「藤沢のおじさんが、また、お店のポスターのモデルになってくれって、言ってきてんねん。去年から、お姉ちゃんのん、あかんよーになったやんかー それで、今年から、観光協会のポスターは桂川音海さんになったんや 人気あるらしい TVも出てるしな それまで、お姉ちゃんのが、人気あったんやけど、悔しいんやって ウチ、恥ずかしいからって、断ってたんやけど・・ お世話にもなってるしな どぉーうしょ思って・・」
「そんなこと、相談されてもなぁー それは、実家にまず相談やろー 僕は、絢が決めたら、反対しないよ お店の宣伝だろう もっと気楽にしてたらー」
「うん 藤沢のおじさんは、ウチのこと、本当の娘みたいに思ってくれてるから、おじさんの頼みなら良いかなって思うねん かつらも用意するって、言っていたしな」
「じゃあ やるだけ、やってみれば 桂川さんだって、実物と全然違うイメージやもんな 絢も変わるんだろうな それも、いいかも」
絢は僕の手を両手で包み込んできて
「今月の末には、あっちに移るんやろーぅ もう、一緒に出来ることが無くなって行くね 中学に入った時も、そんなんやったわ あの時、だんだん離れてしまって・・ 」
「どうしたん 絢 違うこと勉強するんやから、しょーがないやん 今は、いつもメールもしているし、それに・・絢と、もう・・絢のこと好きだから、大丈夫」
「ちゃんと 掴まえといてな ウチも、離れへんから・・」
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