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Fate/WizarDragonknight
”エガオノキミへ”
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女の背後には金の輪が日輪のように美森を飾り、友奈を見下ろしている。
 服も白を基調とした和服となっており、大和撫子の権化であった。

「だから……だから私に負けてよ!」

 無数の砲台が一斉に友奈へ向けられる。青い光線が同時に発射され、ムーの遺跡を壊していく。
 だが、友奈は止まることなく、美森の周囲を走る。

「ダメだよ……東郷さん、何回言われても、何度止められても! 私は、止まらない!」
「また生き地獄の中に囚われるの!? 私がいない、地獄でも……!?」

 その言葉に、友奈は唇を噛む。
 その隙を、じっと友奈を見つめる美森が見逃すはずがなかった。
 友奈の足元を徹底的に砲撃し、その体を吹き飛ばす。

「うわっ!」

 数回地面をバウンドし、友奈の体はムーの地に投げ出される。
 変身が解除され、全くの生身となった友奈。その傍らには、妖精である牛鬼も投げ出される。

「牛鬼……ゲホッゲホッ……」

 出てくる血塊。ボロボロになった生身の体。
クラクラする頭を抑えながら、友奈は言葉を紡ぐ。

「地獄……うん……多分、この世界は、私達の世界と同じくらいの地獄だよ……」
「友奈ちゃん……そうでしょ? だったら、ここで私と一緒にいよう? ずっとずっと……そうすれば、もう友奈ちゃんも苦しまずに済むから」
「でもっ!」

 友奈は、大声を上げながら美森を見上げる。
 友奈の視線の先の美森は、少し驚いたように後ずさった。

「何も知らない人たちが、怪物になった! 私は何もできなかった! 友達になった人を救えなかった!」
「それは、友奈ちゃんのせいじゃない! 友奈ちゃんは悪くない……!」

 美森は、ため息とともに首を振った。

「なら、もう友奈ちゃん、少しだけ痛い思いをしてもらうしかない……だから、もう戦いを止めて!」

 美森はそう叫んで、散弾を放つ。
 雨のように降り注ぎ、友奈を襲う無数の銃弾。だが、もう友奈は止まらない。

「もう嫌なんだ……誰かが傷つくこと、辛い思いをすること……」

 友奈は生身のまま走り出す。
 いつしか、友奈の背後には、銀の巨大な両腕の装置が現れていた。それは四方八方の銃弾を防ぐ傘となり。
生身のままの右腕の拳を、正面から襲ってきた銃弾に放つ。
 そして。
 桃色の閃光とともに、左腕が白とピンクの物へ変化する。

「皆がそんな思いをするくらいなら! また誰かが、こんな苦しみを味わうくらいなら! こんな痛みを、これ以上繰り返すくらいなら!」

 友奈は、さらに銃弾を蹴り落とす。それに使われた両足もまた、白とピンクの衣服になっていく。

「私がッ! 頑張るッ!」

 そのままジャンプ。銃弾の雨をかいくぐり、一気に美森との距離を詰める。
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