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提督はBarにいる。
艦娘と提督とスイーツと・65
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コが『早く出せ』と駄々を捏ね始めている。

「やめんか、仕事中だぞ」

「ホントに止めていいんですかぁ〜?コッチは止めてほしくないって言ってますけどぉ〜?」

 ニヤニヤと笑いながら、指を動かすのを止めない千歳。

「いいから……大人しく、してろっ!」

「もがっ!?」

 流石にイラッとして、右手で一掴みにした柿の種を千歳の口に押し込んだ。最初の内はもがもがと苦しそうにしていたが、その内バリボリと咀嚼する音がし始めた。やがてゴクリと喉が動く音がしたかと思うと、

「ちょっと、何するんですか提督!苦しくて死んじゃうかと思いましたよ」

「ん?まだ食い足りないのか?」

 不貞腐れる千歳にニッコリと微笑みを返してやる。勿論そこには『いい加減にしろ』と圧力を籠めて。

「乾き物ばっかり食べてたから、お茶が欲しいかな〜なんて、アハハ……」

「そうか、今淹れて来てやるから待ってな」

 流石に長年連れ添ってるだけはある。俺の堪忍袋の緒の位置を感覚的に理解して、危ないと判断すればあっさりと退く。その辺はやっぱり年の功というか、なんというか。





「あ〜、緑茶って落ち着きますよねぇ」

「やっぱり日本人だからな、DNAに刻み込まれてるようなもんだろ」

 酔いも大分冷めてきたらしい千歳が、柿の種をポリポリしながら茶を啜っている。

「柿の種ってお茶にも合うんですね。意外です」

「まぁ、元々柿の種はおかきとかあられの一種だからな。元はお茶請けだ」

「あ、そうなんですか?私てっきりおつまみ用に作られた物かと」

「なんでやねん」

「基本ビールとかとしか食べませんもん」

「心底飲兵衛だなぁ」

「いや〜それほどでも〜」

「褒めてはねぇぞ?」

 そもそも柿の種ってのは、1920年代に新潟の煎餅屋が発売したのが元祖だ。店主の嫁さんが小判型のおかきの金型を間違って踏んづけて、歪んだ型を直せないからそのまま使ったら柿の種の形に似たおかきが出来た、ってのが始まりらしい。

「でも、果物の柿の種ってこんな形でしたっけ?」

「新潟の名産の柿の種がそんな形らしいぞ?」

「流石提督、博識ですねぇ」

「そういえば提督、どこのメーカーのが好きですか?柿の種」

 柿の種は元祖の店が商標登録せず、しかも作り方を公開した為に様々な米菓メーカーが作って巨大な市場を形成している。シェアのトップは、言わずと知れた亀〇製菓。そこにで〇六、岩〇製菓、〇幸製菓、ブ〇ボンと続く……らしい。

「三〇製菓の奴かな」

「え〜っ、意外。私はやっぱり亀〇の奴ですね!」

 〇田製菓は流石にトップシェア、安定して美味い。それに、醤油と唐辛子のノーマルな柿の種の他に
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