暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
正美の特訓
35話 通用しない事が分かったから
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「大丈夫!私家近いから」
「そっか。よーし。なら一丁気合い入れ直しますかーっ」

 二人は暫く居残り練習を続けるのだった。






 柳川大附属川越高校では対新越谷の為のミーティングが開かれていた。

 モニターには詠深が写し出される。詠深は強ストレートを投げる時、リリースと位置が遅くなり前へ、そして低くなる。故に狙うは強ストレート。映像を流しながら一年生捕手の浜田が解説していた。

 次に各野手の情報の共有が行われる。例えば、怜は高い打率を残しており長打も狙えるが、崩されるとセカンドゴロが最も多く、次いで空振り。ただ足も早く守備も硬い。

 次々と野手の解説が行われていくと、最後は正美の番となった。

「三輪選手は右投げ左打、ここまでセンター、ショート、サード、ピッチャーで出場しています。ここまで打率は.667、出塁率は.700。驚異的な数字に目が行きがちですが、足も相当早いので出塁してからも脅威です」

 モニターには影森戦の盗塁のシーンと、熊谷実業戦でホームに帰ったシーンが続けて映し出される。

「うわぁ、早いスね??????」

 一年生にてセンターのレギュラーを勝ち取った大島 留々は思わず声を漏らした。

「打球は引っ張り傾向。外角もあまり流すことは無いようです。速い球が苦手なようで、梁幽館の中田選手と熊谷実業の久保田選手の二人を相手に4打数2安打もヒット性の当たりはありません」

 その四打席の映像が順番に流れる。

「見ての通り強い球で内野を越すほどのパワーが無いのでしょう。中田選手との対戦ではフルスイングしているので、全く飛ばせない訳では無いのでしょうが、慣れていないのでしょう。ヒットにはなりましたが打ち損じています」
「朝倉さんなら問題なく抑えられそうスね」

 そんな大島の言葉にエースナンバーを着ける大野は面白くなさそうな顔をした。

「マウンドに上がったのは二試合。両方ともリリーフ登板です。五回を投げて2失点、防御率3.60とまずまずの成績です。軟投派で頻度が高い順に高速シンカー、スライダー、ツーシーム、ストレート、カットボール、チェンジアップ、スローカーブと多彩な球種で緩急を武器にしているものの、これといった球が無いので、球をしっかりと引き付けて打つことを心掛けてください」

 こうして柳大川越野球部はミーティングを終えた。
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