第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第3話 月での合流
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今回の会議で勇美、鈴仙、ヘカーティアの三者はこれから月へ行きサグメ達との合流する事が決まったのだった。
その事に異を唱える者はこの場にはいなかった。しかし、ある疑問を抱く者はいたのだった。
「あの、八意先生。ちょっといいですか?」
「何かしら勇美ちゃん?」
勇美に呼び掛けられ、永琳は素直にそれに受け答えた。そこへ勇美から質問が投げ掛けられる。
それは、シンプルにして、最も重要な事柄であったのだ。
「率直に言います。私達はまた徒歩で月へ行くのですか?」
それが一番の問題であった。
確かに自分と鈴仙は自分達の足で秘密の通路を介して月まで行ったのだ。そして、その経験は決して無駄にはならず、特に勇美を心身共に更に成長させる要因ともなったのである。
そして、夢の世界の境界の支配者たるドレミー・スイートとも仲良くなっている為に、彼女にはすんなり通路を通してもらえるだろう。
だが、それはそれなのである。いかに勇美が意欲的であろうとも、あの長い道のりを再びこなすのは些か参るというものであった。
その勇美の懸念を聞いた永琳は、にまぁ〜っと形容するのに難儀する笑みを浮かべながら言った。
「勇美ちゃん、あなたは肝心な事を忘れているわ。あの時は月の都全般が凍結されて、月の民は夢の世界へ避難していたわ」
永琳は嘘は言ってはいなかった。だが、敢えて言葉足らずにしていたのである。『その事』は勇美と鈴仙の成長の為に相談して決めた事だからだ。故に彼女達に悟られてはいけないのだ。
そして、その答えとなる者の一人が今正にこの場へと向かっていたのだった。
勇美も、ここまで来ると、その答えが薄々と分かってきたのである。なので、彼女は先手を打つ事にしたのだった。
「勇美ちゃん、お久し……」
「ご無沙汰してます豊姫さん♪」
「ぐふっ……」
先手を取ったつもりが逆に取られていた。その事に豊姫は国民的RRGのボスキャラの断末魔のごとき呻き声を出して悶えるしかなかったのだった。
「はあ、はあ。や、やるようになったわね勇美ちゃん……」
「ええ、これまで何度も見ていますからね。もう、そうそう驚きはしなくなるというものですよ♪」
対して勇美はしたり顔であった。この豊姫を出し抜く事が出来てご満悦といった様相である。
ともあれ、この綿月豊姫がこの場に現れた。その事で既に答えは決まっているのだった。
「勇美ちゃん。もう答えは分かっているわね? 豊姫に送っていってもらうって訳よ。ね、簡単でしょ?」
「はい、凄くシンプルです」
このように、落書きをしているように見えていつの間にか立派な絵画を完成させてしまっていた画家とは違って本当に簡単な事なのであった。
「と、言う訳で。後は豊姫の能力で月まで迎えはいいって事よ」
「つくづく便利ですねぇそ
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