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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第32話 絆と絆 1/3
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私の肉体は月と地球と異界に一つずつ存在していて、それが合計で三つという事になるって訳よ」
 そこまで聞いて勇美は「成る程」と合点がいったようにポンと手を叩いた。
「つまり、『命が二つある』ってのと似たようなものって事ですね」
「それは違う」
 ヘカーティアは即座に否定していた。断じて自分は頭を燃やされたシーンで有名なあのヒーローとは違うと。そして、そうなると自分は強キャラの筈なのに黒星ばかりになるのは断じてごめんだとも思った。
「そもそもなんであいつは最強なのに負ける描写ばかりにされたのかねぇ……」
「それは主人公じゃないから、物語の展開の都合上だと思いますよ」
「「……」」
 そんなヘカーティアと勇美のやり取りを遠巻きに見ながら鈴仙と純狐は思った。「何の話やねん」と。
 なので、話が迷走する前に純狐は釘を刺しておく事にするのだった。
「ヘカーティア、変な話はその辺にして、完結に説明してあげて」
「ああ、わかった」
 しょうもない話を繰り広げていたヘカーティアだが、ここで意外にも素直に純狐の言葉に従った。
「つまり、分かりやすく見せるとこういう事さ」
 おもむろに彼女はそう言うと、片手を高らかに天に掲げた。すると、彼女の体が最初に彼女が出現したかのように燃えさかる炎のようなエネルギーに包まれたのだ。
 そして、その炎が収まると、そこには信じがたい光景が用意されていたのだった。
「ヘカーティア様が……三人……?」
 勇美の指摘が全てを物語っていた。その言葉に嘘偽りはなく、勇美達の目の前には三人となったヘカーティア『達』が存在していたのだった。
 だが、髪の色はそれぞれ違った。まず、最初の彼女と同じ赤髪、そして青の髪、最後に黄色の髪をしたヘカーティアがこの場にはいるのである。もう一つ注釈すると、元のヘカーティアが一人で身に付けていた鎖付きのアクセサリーは赤髪が見た事もない惑星型、青髪が地球型、黄色が月型のものを担当しているのだった。
 この現象を起こした後、ヘカーティア達は口々に言葉を発した。
「これが私の秘密さ」
「これで私が三つの体を持つという事の意味が分かっただろう」
「一人で三位一体、それが私、ヘカーティア・ラピスラズリの真骨頂という訳だ」
 これには勇美は堪らずに「おおー」と感嘆の声を上げるのだった。
 あまりにも圧巻の一言だったからだ。一つの存在の肉体が三つもあるとは驚き以外の何者でもないのだ。
 確かに複数の体を操る者を勇美は何度か見ている。
 まずはフランドール・スカーレット。彼女はスペルカード『フォーオブアカインド』の力で自身を四人に分身させる事が出来た。
 そして、皇跳流。彼女は本来の自分の姿である無数のバッタに分裂する出来たのである。
 だが、それらはあくまで能力で増やしていたり、本当
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