暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第24話 報告終了と一休み
[1/9]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 地上から八雲紫がスキマを経由して勇美に送って来た手紙、そこには見事に幻想郷の勢力が月の探査車の殲滅を完了した旨が書かれていたのだった。サグメが勇美達を状況打破のキーパーソンになると見込んで探査車の幻想郷からの撤退を指示しようとした矢先の事である。
 当然、この事にはサグメは驚愕を隠せないでいた。
『まさか、あの月の英知を結集した四体の探査車が攻略されるとは……』
 そして、こうも思うのだった。
『あれ、高かったんですよね……』
 経費の問題であった。当然だろう。あのような損傷を瞬時に自己再生して、妨害が入っても任務を滞りなく行える程のスペックを持った高性能兵器には相応のコストが掛かっていて然るべきなのだから。
 暫し落胆していたサグメであったが、ここで気持ちを再び持ち直す事にした。自由に言葉を発せられるようになった今の彼女には、物事を引きずるという選択肢は存在していなかったのだ。
『仕方ありませんね。元々こちらが招いた不祥事でですから、こちらで対処しましょう』
「サグメさん……」
 そう思い切って言うサグメに、勇美はどこかいたたまれない気持ちで返すのだった。
 確かにサグメは幻想郷を脅かす作戦の指導者であった事には変わりはないのである。しかし、そこには彼女にも苦悩があったのだ。故にただ彼女を責めるだけでは物事は解決には向かわないだろう。
『勇美が気にする事はありませんよ。こちらの不手際なのですから』
「でも、サグメさんも思い悩んでいたのでしょう?」
『優しい考え方をするのですね』
 サグメはそう本心から勇美の事を評価するのだった。そこにはお世辞や偽りは一切なかったのである。
「はい、今のこの自分が幻想郷や依姫さんから得られた一番の掛け替えのないものだと思っていますから」
『勇美は強いのですね』
「強い……ですか……?」
 サグメにそう言われて、勇美は意外な事を言われたなと思うのであった。自分は果たして『強い』と言えるのだろうかと。
 だが、その答えの出ない話題にも、勇美は一つの真実は知っているのだった。
「もし、サグメさんが今の私を強いと感じるなら、それはここまで一緒に来てくれて戦ってくれた鈴仙さんの事は忘れてはいけないでしょう」
「勇美さん……」
 突然話題に挙げられて、鈴仙は驚きながらもこそばゆい心持ちとなるのだった。勇美がここまで来れたのは自分がいたからだと言われて、鈴仙も満更ではなく感じたのである。
「後、依姫さんの事は絶対に欠かす事は出来ませんね。今の私がここにいるのは、彼女がずっと私の事を面倒見てくれたからなんですよね」
『成る程……』
 勇美のその主張に、サグメは相槌を打つのだった。彼女がここまで成長したのは、やはり依姫の存在抜きにしては有り得ない事だったのだろうと再認識する。
 そこで、サ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ