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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第24話 報告終了と一休み
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グメはこの質問をしようと思い至ったのである。
『勇美、あなたは依姫をどういう存在だと思っていますか?』
 その事が今、サグメが一番気になる話題であるのだった。こうも地上に住まう者に影響を与えた依姫は、その当事者からどう思われているのか、今後の参考になると思っての事であった。
「どういう存在……ですか?」
 そう言われて勇美は一瞬考え込んでしまった。その質問は余りにも漠然としていたからである。
 う〜むと腕を組んで考え込む勇美。だが、暫くして彼女なりの答えがここに出たようであった。
「はい、何と言いましょうか……。私が思うに、まず依姫さんは『みんなに愛されている人』とはちょっと違うと感じるんですよね」
 それが、まず勇美が出した答えの一つであった。確かに勇美にとっては掛け替えのない存在である事に変わりはないのだが、皆が皆自分のように思ってはいないだろうと勇美にも分かっていたのだった。そして、勇美は続ける。
「みんなにとっては、心の拠り所とは少し違って……一言で言えば『自分の力で立ち上がる事を後押しする』存在だと言えるんじゃないかな、と私は思いますね」
 それが勇美の答えであった。依姫の周りの者は彼女に寄り添うよりも、彼女の存在によって奮い立たされ上に上に目指す心を強くさせられていって自身の向上を促されていった傾向が強いのではと。
 霊夢には周りの者を引き付ける力が強いが、依姫の場合はそれとは、言ってしまえば逆の効能があるのではという事である。
 勿論、それは反発ではないのである。言うなれば依姫は皆にとっての『高み』そのものとなって多くの者の成長を助長していったのだろうと、勇美はそう一つの仮説を考えるのだった。
 そこまで聞いてサグメは、真摯に受け止めてじっくりと相槌を打ちながら考えていた。そして、彼女は一つの考えに行き着く。
『成る程、今回の幻想郷の勢力による探査車の殲滅にも一役買う事になったと言えそうですね』
 それがサグメの見解であった。探査車の殲滅に向かった者達は依姫の鍛錬を受けていたり、依姫に対抗意識を持った者達が多かった事からも、その読みは的を得ているかも知れないのだ。
「確かに、皆依姫さんから刺激を受けた人達でしたからねぇ……」
 勇美もその事に納得するのだった。良い意味でプライドが高い人達である。そんな者達が依姫に負けてばかりではありはしないのであろうと。
 その事も、紫が彼女達を依姫にけしかけるに至った一因だろうと勇美は改めて紫のしたたかさを実感して噛み締めた。
 うんうんと一人勇美は納得していると、ここでサグメから思わぬ事を言われる事となる。
『後、依姫の元で育っていった『あなた自身』も幻想郷の周りの成長に繋げている……そう思うわね』
「はい? 私自身……ですか?」
 ここで思わぬ指摘をされて、勇美は
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