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幻の月は空に輝く
敵は敵でも好敵手?
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その一瞬の隙間をぬうように、私はイタチを見る。まぁな、とばかりに肩を竦めるイタチはどうやら自覚があるらしい。
 イタチと視線だけで会話してる間も、サスケは速くないなりに近付いてきてる。まぁ、速くないって言い切っちゃうけど、実際は年相応より速いしチャクラもあるんだろうと思う。
 それでも、近付かせないけどね。
 一撃でももらったらイタチがチクチクと煩いだろうし、それに──流石に下忍未満を近付かせるような防御網は敷いていない。

「──ッ!?」

 かかった。
 私の張り巡らせた絃に身体を絡め取られるように、振り上げた右腕をそのままにサスケの動きが完全に止まる。
 動けば動くほど絡まる、なんて絃じゃない。かかった瞬間に雁字搦めの絃。出ないと父さんの動きは止められないからね。
 ぽてぽてと絃に絡まったサスケの前まで歩き、動きを止める。
 これでもかっていう程つり上がった眉と眉間の皺が、サスケの心情をこれでもかと自己主張しているんだけど、そんな事は知った事じゃありません。

「俺の未熟な防御とはいえ、お前には破れない」
 まだ、ね。まだだけどね。
 ちなみに、これが九尾のチャクラを操るナルトに瞬殺されたのは秘密だ。あの時はテンには白い目で見られ、ナルトには腹のたつほど小馬鹿にされつつ肩を竦められたんだよなぁ。
 はぁ。
 また溜息が漏れた。
 私が溜息をついていると、ここに来る途中に飛び立ったテンがゆっくりと私の肩に降り立つ。別の意味で気まずいこの状況で帰ってきたテンとしては、今の方がマシらしい。まぁ、さっきの気まずさは半端じゃないからわからなくもないけどね。

「イタチさん。これでいいですか?」
 サスケからチャクラの絃を外しつつ、無傷というより近付かせてもいないよ、とイタチを見れば…。
「あぁ。十分だ」
 すっごく満足そうな表情をされた。
 おや?
 何でだろうって放置してたサスケを見れば…。

 見なきゃ良かったとつい顔を背けてしまう。

「夜月ランセイか。覚えた…覚悟しろよ」
 おぉう。思わず小さな悲鳴が口から出た。この子って将来極悪非道な大蛇丸の蛇ですら取り込むような成長を遂げるんじゃなかったっけか。
 そんな猪突君に、覚えた、覚悟しろと言われた私。
「別に覚えなくていい」
 心の奥底からの本音だったんだけど、サスケはやっぱり舌打ちで答える。舌打ち好きだね。似合ってるから別にいいんだけどさ。
「俺なんか覚える必要も無いって事かよ」
「……」
 何故そうとるかな。
 執念深そうだから忘れちゃっていいって言ってるのに。
 今日は精神的に疲れたなぁ、と肩を落とせば、いつの間に持って来たのかイタチが私とサスケに水を差し出してくれた。
 瞬身か。瞬身を使ったのか。というかやっぱ私とは桁違い
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