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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第1話 新たなる友:前編
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 依姫が月へ帰ってからの勇美にはある変化が見られたのである。
 それは、本格的に自分の見定めた夢である小説家になるべく行動を起こし始めたという事である。今までも文章を書く練習をしていたのであるが、依姫が自分の元から一旦去った事によりそれが切っ掛けとなったようだ。
 まずその為に、彼女は今までではそこまで関わりを持たなかった者達と関係を持つようになったのである。
 最初に、勇美が当初に幻想郷に来てからお世話になった慧音、その彼女と親しい稗田阿求である。
 彼女は幻想郷縁起という、幻想郷に住むか関わりのある人外の者達について記した書物の執筆を行っている人である。尤も、個人の感性で書いているので、完全な客観的な情報とはいかず、主観が入る所が多いのではあるが。
 それでも、文章を組み立てる技能を身につけようとしている勇美にとってはとても参考になる要素が多かったのである。人外の者達の特徴を分かりやすく、それでいてやや誇張して印象に残りやすくする阿求のセンスは勇美にとって学ぶべき所が沢山あるようだ。
 次に幻想郷最速にして鴉天狗の記者、射命丸文であった。
 勿論、妖怪である彼女が四の五の言わずに人間の勇美に協力はしてくれなかっただろう。だが、ここで勇美は機転を利かせたのだ。
 彼女が依姫に様々な手解きを受けた事を巧みに利用したという事である。その経験と情報は文が継続的に執筆する『文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)』の記事にするにはこの上ないネタになるのだ。それを利用しない勇美ではなかった。
 それにより、勇美の目論見通りに文は彼女に食い付いたのである。そして、文は取材対象に対しては誰にも礼儀正しいのであるから、勇美に対しても協力的になったという事なのだ。
 その最中に勇美は文から執筆のノウハウを学んでいったのである。新聞の記事というのは限られたスペースに必要な情報を絞り、かつ文字数も合わせなければならない綿密な作業を要されるというものなのだ。故に、文からその術を学ぶ事により、勇美の文章力、構成力の向上にも貢献していったのである。
 最後に勇美は、これまで幻想郷にいなかった、所謂『新参』の者とも関わるようになったのだ。それが三人目の者である『宇佐美菫子』である。ちなみに、幻想郷の有力者では数少ない貴重な『人間』である。
 彼女は、幻想郷に不本意ながら連れ込まれて、解放される為に自身の『超能力を操る能力』により怪現象のエネルギーを濃縮した『オカルトボール』なるものを幻想郷にばら蒔いて都市伝説の騒動を起こした張本人なのだった。
 ちなみに勇美は生憎その騒動には参加しなかった。彼女曰く、その騒動は『テンションがおかしい』というものであった。
 それは怪現象を纏って自分の物にして戦うという、勇美の感性では馴染まない独特すぎる行いが蔓延した為である。幻
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