第二十話
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と思い出した。
熱くなれば突っ込んでいく、それが俺の悪い癖でもあった。
しかしそれが功を奏したときもあった。
盾田剣士戦に、卍城王也戦だ。
あれは自身の能力も分かっていない時期だったため、ただ運が良かっただけだと自分でもわかる。
「ではこれで行くとする。あまり無理はするなよ」
その一言を発して、彼女はこの部屋から出た。
彼女が出て静まり返った室内で言っていた言葉を胸に刻んだ。
いつものように愛銃の整備を終えた俺は、担当の矢吹が来るまで待っていた。
静まり返る室内でいつものように目を瞑り黙祷をする。
「佐部タスク、準備を」
ドアが浅く開くと彼の声が聞こえた。
その水たまりの中に放たれた、一つの小石のような声に目を開ける。
ほっぺたを両手で思いっきり叩いた。
両方にあるホルスターに、愛銃を入れて立つ。
集中力が増してきたため、そのままの勢いで待合室から出た。
――――やってやるぜ。
この戦いに勝てば敗者復活できるんだと、自分に言い聞かせ、鉄でできたドアをくぐった。
「おまたせしました。左手に来るのはは不滅の無能力者ァ!! 佐部タスクだあああああああああああああ!!」
外のまぶしい光が目の裏側に焼き付く。
あまりのまぶしさで腕で目を覆っていた俺は、ゆっくりと腕をどけ目を開いた。
目の前に広がっていたのは、歓声と熱狂。
その熱狂からジンジンと体が揺れているのを感じる。
な、なにがあってこんなにも人がいるんだよ。
いつもはこんなにもいない観客に、不思議に思った俺は、キョロキョロと見渡しながら白線へと向かう。
観客に圧倒された意識をもう一度立て直して、対戦相手の入場を待っていた。
「左手に来るのはDランクから這い上がってきた男、西田アクトだああああああああああああああ!!」
実況の声が上がると、正面のドアから一人の男が出てきた。
その髪は、目元を隠すように前へと伸ばして、人に顔を見せないようにしている。
背は一回り小さいく、スラっとしてはいるがしっかりとした筋肉の付きだ。
「両者、最底辺から成り上がってきた真のスペシャリスト!! その勝敗はどちらに傾くのか!!」
いつもの爆音実況が、観客の歓声よりもドームを震わせていた。
「佐部タスクさん、あなたと戦えるだなんて僕はうれしいですよ」
唯一見える口から彼はそんな言葉を言った。
「そうか、お互い頑張ろうか」
いい子のようで反応に困った俺は、そんなありきたりの言葉しかかけることができなかった。
俺は完全に彼のことを多少下に見ていた。
どうも油断体質な俺はそれを戦闘で思い知ること
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ