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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第二十話
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と思い出した。
 熱くなれば突っ込んでいく、それが俺の悪い癖でもあった。
 しかしそれが功を奏したときもあった。
 盾田剣士戦に、卍城王也戦だ。
 あれは自身の能力も分かっていない時期だったため、ただ運が良かっただけだと自分でもわかる。

「ではこれで行くとする。あまり無理はするなよ」

 その一言を発して、彼女はこの部屋から出た。
 彼女が出て静まり返った室内で言っていた言葉を胸に刻んだ。


 いつものように愛銃の整備を終えた俺は、担当の矢吹が来るまで待っていた。
 静まり返る室内でいつものように目を瞑り黙祷をする。

「佐部タスク、準備を」

 ドアが浅く開くと彼の声が聞こえた。
 その水たまりの中に放たれた、一つの小石のような声に目を開ける。

 ほっぺたを両手で思いっきり叩いた。
 両方にあるホルスターに、愛銃を入れて立つ。
 集中力が増してきたため、そのままの勢いで待合室から出た。

 ――――やってやるぜ。

 この戦いに勝てば敗者復活できるんだと、自分に言い聞かせ、鉄でできたドアをくぐった。

「おまたせしました。左手に来るのはは不滅の無能力者ァ!! 佐部タスクだあああああああああああああ!!」

 外のまぶしい光が目の裏側に焼き付く。
 あまりのまぶしさで腕で目を覆っていた俺は、ゆっくりと腕をどけ目を開いた。


 目の前に広がっていたのは、歓声と熱狂。
 その熱狂からジンジンと体が揺れているのを感じる。
 な、なにがあってこんなにも人がいるんだよ。

 いつもはこんなにもいない観客に、不思議に思った俺は、キョロキョロと見渡しながら白線へと向かう。

 観客に圧倒された意識をもう一度立て直して、対戦相手の入場を待っていた。


「左手に来るのはDランクから這い上がってきた男、西田アクトだああああああああああああああ!!」

 実況の声が上がると、正面のドアから一人の男が出てきた。
 その髪は、目元を隠すように前へと伸ばして、人に顔を見せないようにしている。
 背は一回り小さいく、スラっとしてはいるがしっかりとした筋肉の付きだ。

「両者、最底辺から成り上がってきた真のスペシャリスト!! その勝敗はどちらに傾くのか!!」

 いつもの爆音実況が、観客の歓声よりもドームを震わせていた。

「佐部タスクさん、あなたと戦えるだなんて僕はうれしいですよ」

 唯一見える口から彼はそんな言葉を言った。

「そうか、お互い頑張ろうか」

 いい子のようで反応に困った俺は、そんなありきたりの言葉しかかけることができなかった。






 俺は完全に彼のことを多少下に見ていた。
 どうも油断体質な俺はそれを戦闘で思い知ること
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