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レーヴァティン
第百七十七話 七尾城攻めその十

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「これでだ」
「終わりでありますな」
「この戦もな」
 こう峰夫に答えた。
「完全にな」
「そうでありますな」
「本丸も攻め入ってだ」
 そうしてというのだ。
「そしてその中央にある天守閣まで壊した」
「それならば」
「敵兵もほぼ全員倒れた」
「戦はであります」
「俺達の勝利だ」
 そのことが決まったというのだ。
「確実にな」
「左様ですね」
「ではこれよりだ」
「勝鬨をあげるでありますな」
「最後の一兵が今倒れた」
 まだ十人程残っていたがその彼等も今鉄砲隊に突っ込みその射撃で蜂の巣になった。そこには敵の領主もいた。
「これでだ」
「完全にでありますな」
「俺達の勝ちだ」
 それが決まったというのだ。
「まさにな」
「そうでありますな」
「それでだ」
「勝鬨を」
「今よりあげる」 
 こう言ってだった。
 英雄は幕府の軍勢に勝鬨をあげさせた、そうして。
 その後で七尾城の将兵達を蘇らせた、そうして七尾城の成就でありこの辺りを収める領主でもある老将に言った。
「降らなかったのは何故だ」
「武士の意地として」
「戦ったか」
「その者だけを城に残して」
「俺達と戦ったな」
「はい」 
 まさにというのだ。
「そうした次第です」
「戦わずして降ることはか」
「武門でないので」
「そうか、ではだ」
 英雄はさらに言った。
「幕府に逆らったならな」
「覚悟はしております」
 老将は答えた。
「ですが咎はそれがしだけで」
「他の者はか」
「どうかご慈悲を」
「わかった」
 英雄は老将の言葉に頷いた、そうしてこう告げた。
「誰の命も取らぬ」
「有り難きお言葉、ではそれがしは腹を切ります」
「お前はこのままこの地を治めろ」
「何と」
「言った通りだ、お前は戦う気のある者だけを城に残し戦ったな」
「そのことが何か」
「その心意気やよし」
 こう言うのだった。
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