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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
帝冠の共和国〜アルレスハイム王冠共和国にて〜(上)
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ある。渋面という単語を辞書で引けば出てくるであろう顏をした老人に対し、口を開く。
「リッカルド・ハンソン首相、此度の両院合同会議召集の理由を尋ねたい」

「うむ‥‥陛下、我らの同胞たる同盟弁務官エドヴァルド・フォン・リッツが帰郷いたしました。
同盟政府の施政情勢の経過と今後の同盟弁務官としての行動方針について両院議員と国民に対し報告したいとのことです」

 問答は首相のつけたマイクに拡大され、静まり返った議事堂に響き渡る
 『陛下』は形式に則り承知した、と頷き、立ち上がった。

「本日、セイム、セナトの両院合同会議に臨み、全国民を代表する名誉ある議員らと一堂に会することは、私の深く喜びとするところである。
諸賢らが国権の最高機関としてその使命を十分に果たし、国民の選出に基づきアルレスハイム全国民の代弁者として送り出した同盟弁務官の報告に対し、名誉をもって論じ、国民の信託に応えることを切に希望する」

 元老院議長であり右派政党『黄金の自由』の長老であるホールが朗々とした声を張り上げる。
「アルレスハイム王冠共和国統領(コンスル)にしてアルレスハイム王冠共和国の象徴たる尊厳者(アウグスタ)、共和国国民の第一人者。
神聖不可侵なる銀河帝国の皇帝、天界を統べる秩序と法則の守護者、オリオン腕の全人類国家の主権者、その象徴たるゲルマニア王冠の守護者たるマリアンナ・フォン・ゴールデンバウム陛下万歳」
 そう、彼女の姓はゴールデンバウム――である。彼女の父祖はマンフレートニ世亡命帝にまで遡る。
 彼が暗殺された後、皇太子、マンフレート三世アルブレヒトが「帝国権標」の一つ『ゲルマニア王冠』(と主張する王冠)と側近達を引き連れアルレスハイムに腰を落ち着ける。
 彼を『アルレスハイム王冠共和国統領(コンスル)にしてアルレスハイム王冠共和国の象徴たる尊厳者(アウグストゥス)、共和国国民の第一人者。神聖不可侵なる銀河帝国の皇帝、天界を統べる秩序と法則の守護者、オリオン腕の全人類国家の主権者、その象徴たるゲルマニア王冠の守護者』と長々しく権威を持った称号をもって現実政治より切り離した神輿とする改憲が行われ――現体制が確立したのである。
 そしてまた長々しい称号であるが‥‥‥政治的な詐術が含まれている。専制的な称号が王冠にかかるのか、或いは彼らの元首にかかるのか、敢えて濁しているのだ。
 ある意味ではアルレスハイム『王冠共和国』と名乗っている理由も同じである。

「 帝冠の守護者たる陛下万歳」

「アルレスハイム王冠共和国万歳」

「陛下と陛下の君臨する土地に栄えあれ、万歳」

「我らの祖の名誉と子孫の未来を守られますよう、万歳」

「全ての市民と共に陛下があらせますよう、万歳」

 議員達が唱和する【陛下】を称え
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