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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第三十四話 居場所
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言っていた件、うまくいったぞ」
「私が言っていた件…ですか?」
「忘れたのか、フォークを欲しがっていただろう?」
「ああ、そういえばそうでしたね」
「お前なあ…。お前さんが呼んでるって言ったら、喜んでいたよ。慕われてるな」
「彼にはライバルが必要ですからね。まだ向こうがライバルと思ってくれていれば、の話ですが」
「まあいいさ、フォークは先週出発した。向こうに着いたらちゃんと面倒見てやるんだぞ」
そういえば、フォークを呼ぼうと思ってたんだよな。すっかり忘れてた…。

 「はい。ところでヤン中佐は八艦隊司令部のままですか?」
「そうだが…何か問題でもあるか?」
「いえ、シトレ閣下が八艦隊を直卒なされるとの事ですが、自ら先頭に立たれるつもりなのでしょうか?」
「うーん、八艦隊だけで敵と事を構える、という事にはならんだろうからな。閣下が戦場に赴くとなれば…そうだな、八艦隊は予備、火消しとして使われるだろう。予備兵力だな」
「であれば尚の事、ヤン中佐は宇宙艦隊司令部の参謀にでもなさった方がいいと思います」
「何故だ?」
「シトレ閣下は現在宇宙艦隊司令長官代理です。私ごときが言うのも何ですが、能力も人望もあるお方ですが、まだ絶対的存在ではありません。でもいずれ代理の二文字が取れる時期が来る訳で、その時にその手腕や能力に付く様では、今後のシトレ政権の運営に差障りが出ます」
「政権運営ね、上手い事を言う…それとヤンがどう関わって来るんだ?」
「純粋に統帥の問題です。八艦隊が戦場に出た場合、誰がその指揮を執るのです?八艦隊司令部参謀ですか?八艦隊の先任分艦隊司令ですか?シトレ閣下は麾下の宇宙艦隊の指揮を執らねばなりません。極端な話、十二個艦隊の指揮をです。となると、直卒とはいえ閣下が八艦隊の指揮を執る事は難しい」
「八艦隊の副司令官か、司令部の先任参謀が一時的に指揮権を預かる、ではいかんのか?」

 よくある話だ、司令官の替わりに参謀が指揮を執る。よくある話過ぎてキャゼルヌさんも気が付かないんだろうか?
「…その場合、責任を負うのは誰です?」
「当然シトレ閣下だな。代理指揮を命じたのだから。俺としてはヤンを首席参謀にして、万が一の代理指揮を執ってもらおうと思っているんだが」
「ヤン中佐には確かにその能力はあるでしょうが、八艦隊副司令官は面白く思わないでしょうね。下手すると信頼されていない、と思うのではないでしょうか。それに中佐に指揮を任せるにしても、エル・ファシルの英雄、という肩書だけで皆が着いてくる訳ではありません。提督の手元に置いておいた方がいいと思いますよ」
「なるほどな…お前さんの言い方だと副司令官でもダメそうだな」
「はい。職能がついていきません。副司令官はあくまで艦隊司令官の女房役です、それ以上の責任を負わす訳には
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