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雨でも散歩して
第三章

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 彼の身体をよく拭いてから外に出した、そのうえで。
 自分の身体と髪を洗って湯舟に入ってじっくりとあったまった、その後で風呂を出て服を着てだった。
 リビングに出るとこう言った。
「クロは大人しかったけれど」
「雨がよね」
「凄かったから」
 それでというのだ、もうクロが家に来て四年経っていて彩奈も十歳小学四年になっていたがそれでもこう言うのだった。
「こうした日のお散歩はね」
「大変よね」
「毎日っていうのが」
 それがというのだ。
「辛いわね」
「お風呂も入れてくれたしね」
「だからお風呂の時もね」
「クロちゃんは大人しいからよね」
「いいけれど」
 それでもというのだ。
「雨の日のお散歩がね」
「大変よね」
「うん、本当にね」
 こう言ってソファーの上に座ったが。
 ここで風呂も入って身体を拭いてもらってすっかり奇麗になったクロがだ。
 彩奈のところに来て一声鳴いた。
「ワン」
「けれどいいかな」
 彩奈は自分を見ているクロを見て微笑んだ。
「クロが喜んでくれるなら」
「それならよね」
「うん、クロは家族だしね」
「凄くいい子だしね」
「大人しくてね」
「愛嬌があって」
「だからね」
 それでというのだ。
「こうした時も声をかけてくれるし」
「いいかなって思えるでしょ」
「大変な思いをしたけれど」
 大雨の中の散歩でだ。
「それでもね」
「そうよね、今日は大変だったし」
 大雨の中の散歩でだ。
「お風呂にも入れてくれたし」
「クロをっていうのね」
「おやつはホットケーキよ」 
 彩奈の大好物のというのだ。
「シロップたっぷりかけるからね」
「有り難う、それじゃあね」
「ええ、食べなさい」 
 母はここで娘の前にシロップをたっぷりかけた二段のパンケーキを出した、娘はそのパンケーキを笑顔で食べて。
 その後でクロにこう言った。
「また明日お散歩行こうね」
「ワンワン」
 クロは笑顔で応えた、そうして尻尾をぱたぱたと横に振った。


雨でも散歩して   完


               2020・9・28
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