第二章
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「お葱や玉葱は絶対に駄目よ」
「そうなの」
「そう、ワンちゃんには毒だから」
「お葱も玉葱も身体にいいのよね」
「人間にはね」
「お母さんいつも言ってるけれど」
「だからそれは人間のことで」
それでというのだ。
「ワンちゃんにはね」
「毒なのね」
「だからね」
それでというのだ。
「ドッグフードの方がいいの」
「そうなのね」
「そう、だからドッグフードでいいの」
「じゃあこれからも」
「お母さん達が買ってるのをね」
「あげたらいいのね」
「そうよ」
こう娘に話した、そしてある日。
雨の強い日だったが母は娘に夕方に言った。
「クロちゃんのお散歩に行ってあげて」
「外大雨よ」
「お散歩から帰ったらお風呂に入りなさい」
濡れて身体を冷やしてもというのだ。
「クロちゃんの為にね」
「朝に行ったのに」
「それでもよ」
朝も雨だった、だがこの時は小降りで苦労しなかった。
「お散歩は絶対でしょ」
「じゃあクロにカッパ着せて」
「そうしてね」
「それじゃあ」
「ええ、帰ったらお風呂あるからね」
彩奈が風呂好きなのでこれを人参にして話した。
「行って来てね」
「仕方ないわね、じゃあクロ行こう」
丁度傍にいたクロに声をかけた。
「カッパ着てね」
「ワンワン」
クロは尻尾を左右に振って応えた、そしてだった。
カッパを着せてリードを付けるとだった。
クロは自分から家を出た、傘とトイレを処理する袋を持った彩奈は正直内心行きたくなかった。だが。
クロは散歩の間ずっと上機嫌でだった、大雨の中散歩をして。
三十分以上家に帰った、雨は文字通りの大雨で彩奈は傘をさしても全身濡れきっていてそうしてだった。
彩奈は何とか家に帰った、すると母は娘を玄関で迎えて言った。
「すぐにね」
「お風呂よね」
「もう入れてあるから」
それでというのだ。
「入ってね」
「うん、それじゃあ」
「それとね」
「それと?」
「クロも入れてあげて」
彼もというのだ。
「濡れてるしね」
「それでなの」
「身体洗ってあげてね」
「お風呂もなの」
「クロ最近お風呂に入れてあげてなかったでしょ」
だからだというのだ。
「今はね」
「ううん、それじゃあクロ入る?」
「ワン」
クロは頷く様に鳴いた、それでだった。
彩奈は脱衣場までクロを連れて行ってだった、濡れそぼった服を脱いで洗濯機の中に入れてそれからだった。
クロを風呂に入れた、そうしてまずは彼を犬用のシャンプーで洗ってだった。
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