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おぢばにおかえり
第六十話 朝早くからその十五

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「先輩のお家ですから」
「だからなのね」
「そうです、じゃあ一緒に食べましょう」
「そこまで言うのなら」
 それならとです、私も頷いてでした。
 それで阿波野君と同席してちゃぶ台の上にお茶とお菓子を出して一緒に食べはじめました、お菓子はおまんじゅうですが。
 そのおまんじゅうを食べて阿波野君はこんなことを言いました。
「このおまんじゅう美味しいですね」
「これね、お供えものなの」
「信者さんからのですか」
「そうなの、信者さんに和菓子屋さんがいてね」
 この八条町の老舗の和菓子屋さんです。
「その人がいつもね」
「お供えしてくれてですか」
「有り難いことにね」
「いつも食べられるんですね」
「そうなのよ」
「それはいいですね、こんなお菓子が食べられるなんて」
 おまんじゅうをぱくぱく食べながらの言葉でした。
「結構なことですね」
「そうでしょ、だから私の教会はいつもおやつには困ってないの」
「余計にいいことですね」
「ただ。残ったことはないわ」
「それはどうしてですか?」
「だって家族だけじゃないから」
 阿波野君にその理由をお話しました。
「信者さんも来られるし」
「その人達にも出すからですか」
「今みたいにね」
「じゃあ幾らあっても足りないですね」
「それはね」
 どうかとです、私は阿波野君に答えました。
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