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曇天に哭く修羅
第四部
Bブロック 8
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悪魔を止めさせた方法だ。


空間転送(アスポート)

空間近奇(アポートス)

空間接続(アクセション)


この3つで月刃同士の打ち合いに持ち込んで数を減らし、春斗にも月刃を向ける。


(早速やろう)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


向子の狙いは大方上手くいった。

しかし予定通りにはいかない。

春斗は右手に魔晄を集めると、二本目の斬魔を作り出し、共に放り出す。

それを【追刀(ついと)】で遠隔操作。

浮遊する直刀を手に取った。

彼は向子の方へと身構える。


三日月の刃が雨のように降り注ぐ中で春斗は魔晄神氣/セカンドレイクの【神速斬光(エル・グリント)】を『三ノ段/ドライ』で発動。

音隼(おとはや)】と【天騒翼】を出力最大に。

全てを速さと速度のみに結集。

ただ向子の元へ()せる。

軌道は最短の一直線。

躱すことを考えていない疾空。


春斗は外装を腰に着けて抜刀の構え。

しかし既に鞘から出ている。

彼は剥き出しの刀身を左手に掴んだ。

そして右手が刀の柄を引く。


「【魔晄極致(サードブレイク)】」


春斗のスペックが底上げされて加速。

彼の防壁が白銀から黄金へ。

黒い刀身に一筋の線が走った。

春斗の右手が動くと刀身が鞘のように滑り出し、白銀の刃が姿を現す。


「【万象無斬(ばんしょうむざん)】」


彼の斬撃は月刃はおろか、空間能力による妨害でさえも、一撫ですれば消し去る。

概念の切断と消滅だ。


「やっと見せてくれたね」


向子の喉元に春斗の刃が迫る。


「【空間交位(エクスシフト)】」


二人の位置が入れ替わった。

その瞬間、不可視の衝撃が顕現。

前触れの無い波紋が春斗に伝播(でんぱ)

一つであれば耐えられただろうが付着した衝撃は多重に積層されていた。

挽き肉にされてもおかしくない。

だが叩きになった春斗は原形を残す。

そこまでする必要が無いから。


「【繽紛無垠(ピロテクニマ)】」


向子は地に伏した春斗を見下ろす。


「うん。強かったよ」

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