暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
夏大会2回戦 影森高校
15話 これも1つの布石だから
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 白菊のホームランに息吹がヒットで続きノーアウトのランナーが出たのだが、詠深がバントをミスし、ダブルプレーをとられてしまった。

 

 続く希も粘りを見せ、9球目をセンター前へ弾き返したのだが、一塁で中山の牽制に逆を付かれてアウトになってしまう。

 

 白菊のホームランから勢いに乗りたかった新越谷だが、影森の守備と中山の冷静なプレイに流れを作れなかった。

 

 守備に向かう新越谷ナインと入れ替わるように、ファーストベースコーチに入っていた芳乃とサードベースコーチに入っていた正美がベンチに戻る。

 

「正美ちゃん、スタンドに梁幽館の生徒がいたよ。多分、偵察だと思う」

「やっぱり来てたかー。うちらみたいな無名校なんてほっといてくれれば良いのにね」

 

 正美の物言いに芳乃は苦笑いを浮かべた。

 

「ヨミちゃんはやっぱり出せないね」

「そうだねー。??????ねぇ、どこかで私を代走で出してくれないかな?」

 

 芳乃はそんな正美の提案に首を傾げる。

 

「良いけど、正美ちゃんの足見せちゃって良いの?」

「良いの良いのー。これも1つの布石だから」

 

 そう言って、正美は息吹とキャッチボールする為にレフトへと走っていった。

 

 

 

 

 試合は再び膠着状態に入る。新越谷はヒットを許すものの後続を抑え、影森も良い打球を飛ばされても硬い守りがヒットを許さない。

 

 再び試合が動き出したのは5回の表。理沙が疲れを見せ始めた。球威が落ち、影森の打球の質が上がる。

 

 ノーアウト・ランナー二塁となった所で新越谷ベンチが動いた。

 

 球場にウグイス嬢の声が響く。

 

「新越谷高校、シートの変更をお知らせ致します。レフトの川口さんがピッチャー。サードの武田さんがファースト。ピッチャーの藤原さんがサード。ファーストの中村さんがレフト。以上に代わります」

 

 息吹の初球。これに影森再度はざわついた。中山のフォームを完全にコピーしている息吹のピッチングフォーム。打者も動揺し、黒森はこの試合で初めてストライクを見送る。

 

 珠姫も影森のキャッチャーの様にすぐボールを返球。息吹は早いテンポで二級目を投じた。打者は立ち直ることができず、これも見逃した。

 

 影森バッテリーを再現した息吹と珠姫に対応できずにバッターは三球目を空振り。三振に倒れる。

 

 影森サイドの動揺は収まらず、カーブを引っ掛けセカンドゴロ。息吹は投手デビュー戦をパーフェクトリリーフで飾った。

 

「伊吹ちゃんナイピー。流石は未来のエース!」

 
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