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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
つかの間の休息
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たんだ」
「お、おう……!」

治の強引なこじつけにより、何とか誤魔化すことが出来たのだが、キラキラとした眼差しを向けてくる最年少に、罪悪感が半端なかった。





バードラモンに乗って迎えに来た空に伴われ、山の麓で待っていた治達はムゲンマウンテンを登る。
気性の荒いデジモンが住んでいるから、と辺りを警戒していたパートナー達だったが、丈とゴマモンが頂上付近までは何事もなく登っていたのが証拠であるように、1匹も野生のデジモン達が現れて、襲ってくる気配がなかった。
いつもなら麓にいても殺気めいたような気配が漂ってくるのに、それすらなかったことを思い出して、デジモン達は首を傾げている。
最年少達が危険な目に合わなくて済む、とミミは安心していたが、いつもと様子が違うということに、治は引っかかりを覚えていた。
危険がないのは何よりだが、普段は気性の荒いデジモン達がうろついているのに、今日に限って1匹もいないというのは、却って不気味である。
いつもと様子が違うことを、ラッキーで済ませてはいけない気がするのだが、今はとりあえず頂上で待っているであろう太一達と合流する方が先だ、と治は先を急いだ。



島で1番高い山は阻むものが何もなく、360度を見渡すことが出来る。
ゲンナイから聞いていた通り、絶海に浮かぶ孤島であるファイル島の周りには、何もなかった。
ある程度の覚悟はしていたものの、実際に見せつけられると秘めていたはずの覚悟があっさりと音を立てて崩れていくような錯覚を覚える。
だが泣くのは後回しだ。泣いて現状がどうにかなるものではないことぐらい、子ども達にも分かっていた。
パソコンを開いた光子郎は、ゲンナイがくれた地図を開いて、大まかではあるがエリアを区切って情報を打ち込んでいく。
ここに来るまでに通りがかった場所にはそのエリアの特徴やどんなデジモンがいたのか等が事細かに書かれ、まだ行っていない場所は山の上から見下ろしたときに見えた特徴だけを書き記していた。
アンドロモンがインストールしてくれたガードロモンやメカノリモンのデータが、光子郎がやっていることを感知して自己判断で手伝いをしてくれたおかげで、思っていたよりも早く終わった。

「……これでよしっと」
「できたか?」
「はい、粗方ですが。あとは立ち寄ったときにまた色々と書き込もうと思います。今は場所が把握できればいいので……」
「よし、じゃあ降りるか!」

太一の号令により、子ども達は下山を開始する。
道中で気性の荒いデジモンと出会わなかったせいか、子ども達の間に登山の際に抱いていた緊張感は殆どなかった。

「……なるほど、それで太一は僕を呼び捨てにしてる、ってことになったんだね」

1番前を歩く太一と丈は、丈とゴマモンが2人だけでムゲンマウ
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