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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
つかの間の休息
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いない。そう言って、きっと丈は許してくれる。
むしろブイモンの弱点を忘れていた自分が悪いのだと、きっとそう言うだろう。
それでも、丈は悪気があってブイモンに触れたのではない。
ただ助けようとしただけ、転びそうになったブイモンを支えようと、反射的に手を伸ばしただけ。
恐らく丈もそのことで頭を下げるだろう。
互いに謝罪合戦になって、それでみんなで笑うのだ。
それでいい、それでいいのだ。
今は、まだそれでいい。


丈のところに行こう、と大輔達が1歩足を踏み出した時だった。



ガシャァアアアアアアアアアアアン!!



金属が派手に倒壊したような、重たい陶器が落とされて割れたような、派手な音が館中に鳴り響いた。
あまりにも突然だったその音に、大輔達は耳を塞ぐ用意もできずにその場で硬直する。
キンキンと耳の奥に反響して、脳内に幻痛が走ったような気がした。

「どうしたんですか!?」

下から光子郎の声がした。
それで我に返った大輔と賢とヒカリは、慌てて木で出来た柵に近寄り、下を覗き込むように掴む。

「悪い!俺だ!廊下にあった鎧、ぶっ倒しちまった!」

少しだけくぐもった、太一の声が聞こえる。
声色からして特に緊迫したものではない、と判断した光子郎が気を付けてください!と少々苛立たし気に返した。

『なぁんだ、びっくりした』
『よかったー、敵に襲われたとかじゃなくて!』

賢とヒカリ、それぞれの隣で、パタモンとプロットモンも下を覗き込みながらそう言った。
そうだね、って賢はクスクス笑いながらパタモンを抱え、定位置である自分の頭に乗せてやる。
丈のところに行こう、と賢は大輔の方を振り返ったのだが……。

「……ブイモン?どうしたの?」

最初に気づいたのは、賢だった。
賢の言葉に、大輔とヒカリ、パタモンとプロットモンも反応して、ブイモンに視線を向ける。


赤い目を見開いて、小刻みに揺らして、硬直しているブイモンがいた。


え、って大輔達も身体を一瞬強張らせる。
まるで、誰かに触れられた時のブイモンとそっくりで、でもここにはブイモンが触れられても大丈夫な子達しかいなくて、みんな頭上にたくさんの疑問符を浮かべる。

「ど……どうしたんだよ?」

そう声をかけるのがやっとで、未だに解けない硬直の中みんなでブイモンを見つめていると、その声が引き金になったかのように、その場にへなへなと崩れ落ちた。

「へ!?お、おい、ブイモン!?」

慌てて駆け寄る。
震えこそなかったものの、身体が強張っているのは、触れてみれば分かった。
は、は、は、と浅い呼吸を繰り返している。
大丈夫?ってヒカリは何度も背中を擦ってやった。
触れられて、パニックに陥った時よりも早
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