ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
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ってきたのは、黒い歯車が原因ではないか。
アンドロモンももんざえモンも、あの黒い歯車が身体から抜けてから正気に戻っていたではないか!
やると決めたら、必ずやり遂げる。
丈の行動は、早かった。
『ジョウ!?何してんの!!』
立ち上がったかと思えば、丈はユニモンが視界を横切るタイミングを見計らって崖から飛び出していった。
驚きのあまりゴマモンが声を張り上げるが、丈は聞いていない。
危なげに飛び降りた丈は、黒い歯車にしがみつく形でユニモンの背中に乗る。
「これを……!これさえ外せば……!」
やると決めたら必ずやり遂げる子は、もう歯車を外すことしか考えていない。
深く突き刺さった棘を抜くためには痛みを伴う。
邪悪に心を染めてしまったユニモンは、歯車が突き刺さっている痛みなどきっと感じていない。
だが引き抜こうとする痛みは、どうだろうか。
へっぴり腰になりながらも、丈が腕に力を入れて歯車を抜こうとした時、激痛がユニモンを襲う。
嘶きながら空中を暴れまわるユニモンだが、丈は引き抜くのをやめない。
痛いかもしれないけれど、これが外れなければユニモンはずっとこのままだし、仲間達も危ないのだ。
『ジョウ、止めろ!!無理だよ、幾ら何でも!!』
「ダメだ!僕が、僕がやらなきゃいけないんだ!!」
ゴマモンが制止するが、丈は止まらない。
歯車を外すということしか、今の丈の頭の中にはないのだ。
一番面倒なこと、大変なことは年上が率先してやらなければならない。
丈の2人の兄達は、いつもそうだった。
自分は兄だからって、面倒なことも笑顔で引き受ける姿を、丈はいつも見てきた。
だから丈も、この無謀な冒険の中で最年長として、面倒なことを、大変なことを引き受けようと決めた。
それが年上としての務めだから。みんなを守らなければならないから。
「うわあっ!!」
奮闘空しく、丈の身体が空中に放り出される。
重力に逆らうことも許されず、放り出された丈の身体は悲鳴を置いてけぼりにして落下していった。
『ジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
目の前で落ちていく、守るべきもの。
ゴマモンの悲鳴にも似た咆哮が、ムゲンマウンテンに響いた。
子ども達が危機に陥った時、デジヴァイスは光り輝く。
『ゴマモン進化!!』
光に包まれたゴマモンの身体に、0と1が降り注がれていくのを、丈は見た。
光の卵から生まれたのは、白い毛に覆われ、大きな牙を生やした、巨大なトドだった。
『イッカクモン!!』
灰色の地面に死を覚悟した丈だったが、白い地面が突如として現れ、そして柔らかく受け止められる。
岩に叩きつけられる痛みではなく、クッションのような柔らか
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