第六十三話 悪霊の滝
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の類は無く、錆び付いた小銃が5丁ほど壁に立て掛けられていた。
「デガナヴィダ。今帰ったわよ〜」
アワサが、声を掛けたが返事が無い。
「お客さんだよ、昨日助けた人達と同族の人〜」
もう一度声を掛けても返事は無かった。
不審がってデヴィットがアワサに声を掛けた。
「居ないのか?」
「居るよ」
「だが、返事が無い」
「デガナヴィダはちょっと特殊なんだ……着いて来て」
そう言うと、アワサは家の奥へと進んでいった。
デヴィットとジャックは、お互い目を合わせるとアワサの後へ着いて行った。
家の奥へと3人は進むと、会議場の様に広い部屋に出た。
部屋の中央には、焚き火の火が煌々と輝き、見た目は30前後の青年が熊の毛皮を敷いた床に胡坐をかいていた
青年は他の原住民と同じような半裸に近い民族衣装を着ていた。
「お初にお目にかかります。私はトリステイン王国のデヴィットという者です」
「同じく、ジャックです」
「……」
二人は自己紹介をしたが、デガナヴィダは黙ったまま目を瞑っている。
「あの……」
「ああ! ごめんなさい忘れてたわ。デガナヴィダは四六時中、精霊を交信していて滅多なことじゃ話さないのよ」
デガナヴィダの横に控えていたアワサが、事情を説明した。
「精霊? しかし精霊は敵だったのでは?」
「精霊にも色々なヤツが居るのよ。私達が敵対しているのは、獣を統べる『悪い精霊』の方よ」
「悪い精霊?」
「そうよ、私達を都合の良い食料か何かと勘違いしている連中。私達は獣と違って、力も弱いし素早く立ち回れない。デガナヴィダが私達を連れて悪霊の滝に逃げ込むまで、獣や亜人達に食べられない様に身を潜めるしかなかったわ」
アワサはギリリと奥歯を噛み、憎しみに燃える瞳を輝かせた。
無言で目を瞑っていたデガナヴィダが口も開いた。
「憎しみに支配されてはいけない『みんなきょうだい』だ」
「みんなきょうだい?」
「デガナヴィダ! たまに口を開けばいつもそれじゃない! アンタはそれで良くても獣どもは私達を襲うのを止めないわ!」
「……」
「なによ! またダンマリ!?」
「……」
アワサは舌打ちをすると、腕を組んで壁に寄りかかった。
「デガナヴィダ。私達……少なくとも私は、アンタが喋るまで待っていられるほど暇じゃないの」
アワサがデガナヴィダを睨み付けると、ようやくデガナヴィダは口を開いた。
「……隣人よ」
「は、はい」
「……」
デガナヴィダの言葉にデヴィットは息を飲んだ。
「大精霊の声によれば、我らの悲願を達成するには、あなた方、隣人の力を借りねば
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