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渦巻く滄海 紅き空 【上】
四十一 そして空は今日も青い
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因を知った。それだけで見違えるように彼女は考えを改めた。なぜなら自分は悪くないのだ。
この悪化した状況が運命だと嘆くより先に、この現状をより良く変えようと努力する。その行動自体が自分にとって重要なのだとナルは心の底から実感したのである。



「運命がどうとか変われないだとか、そんなつまんない事でめそめそ言うなよ」

だから今のネジはどことなく昔の自分に似ているような気がして。
翼をもがれたわけでもないのに自ら蓋を閉めて閉じこもっている、本当の『籠の中の鳥』のように思えて。

「苦しんだり悲しんだり…そんなの誰だって経験してんだ。……別にお前だけが特別じゃないんだってばよ」
ネジの顔が強張った。ナルの諭すような物言いに苛立ち、不快な表情を露にする。彼の鋭き眼力をナルは真っ向から受け止めた。


「辛いのはお前だけじゃない。ヒナタだってな、ずっと苦しんできたんだ。宗家なのに認められない自分を必死で変えようとして…だからお前に立ち向かったんだろ!何度だって立ち上がったんだろ!諦めずに闘ったんだろ!」
「…………」
「お前だって変わりたかったんじゃないのか!?宗家を守る分家が試験だからってヒナタをあんなにして…。本当はお前だって運命に逆らおうと必死だったんだろ!!」


ひたすら無言を貫いていたネジがこれ以上聞きたくないとばかりに身構えた。再び【八卦・六十四掌】の構えをとる。手の甲を前に掲げ、彼は「お前こそなぜそこまで運命に逆らおうとする?」と訊ねた。

白き雲を眼の端で捉える。優雅に泳ぐそれらは、自ら風に乗っているのではなくただ浮かんでいた。ぽつり呟く。
「人の運命とは決められた流れの中でただ浮かんでいるしかないんだ」

何もかもを諦めたらよいのに。天の定めだから仕方が無いと割り切るほうが易しいのに。運命という単語を言い訳にして、逃げたら楽なのに。
あの引っ込み思案だったヒナタに多大な影響を与えた、張本人に問う。


質問したにも拘らず、地を蹴る。【八卦・六十四掌】を仕掛ける振りをし、ネジは身体を捻った。
【回天】ならば、その際に放出するチャクラにより、ナルの目に見えぬ攻撃を防げるであろう。更に至近距離での発動は全身から迸るチャクラの渦で、相手からの攻撃諸とも本人そのものを弾く。
もうチャクラも残り少ない。【八卦・六十四掌】を何度も使い過ぎた。【回天】によるチャクラ放出でナルを攻撃ごと跳ね返し、動きを封じようという策略である。



ナルの懐に入り、そのまま【回天】の動きに入るネジ。自らが台風の目となり、身体を回転させる。放出したチャクラの渦は何者も寄せ付けない。暴風域に入ったが最後、相手の身体は弾き飛ばされる。


返答など期待していなかった彼のすぐ傍で、ナルの静かな答えが返ってきた。

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