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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
選ばれし子ども達
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「なあ、賢が首から下げてるのって、ペンダントか?」
「これ?違うよ、これ時計なんだ」
「え?そうなの?」
「うん、懐中時計って言うんだって。ここ押すとね、蓋がパカって開くんだ」
『わあ!ホントだ』
『ねえ、トケイ?って何?』
「えっ、プロットモン時計知らないの?」
「時計って時間を教えてくれるもんだよ。今12時とか、5時とか」
『ジカンってなんだ?』
「……えーっと、あとでお兄ちゃんに説明してもらうから、それでいい?」
『?うん、いいよー』
「……え、えーっと、賢くんの懐中時計、金ぴかで綺麗だね!」
「お、おう!蓋の鳥とか、すっげーな!」
「えへへ、でしょ?すっごく気に入ってるんだー。……でも」
「?」
「これ、何処で買ったのか全然覚えてないの。いつからあるんだっけってお母さんに聞いても、分かんないって言うんだよ」
「自分で買ったんじゃないの?」
「ううん、だって買った覚えないもん。お兄ちゃんにも聞いてみたんだけど、知らないって……」
『ケンがもっと小さい頃とかは?小さい頃のことってあんまり覚えてないじゃん』
「それもないなぁ。確かにちっちゃい時のことって記憶には残ってないけど、僕がちっちゃい頃はまだお兄ちゃんとお父さんと一緒に暮らしてたし、その頃のお兄ちゃんは今の僕と同い年だったから、お兄ちゃんが知らないのはおかしいもん」
「……私も」
『ヒカリ?』
「私も、そうなの。このゴーグル。いつ買ったのか全然覚えてないの」
「え?太一さんとお揃いで買ったとかじゃないの?」
「ううん。違うみたい。いつ買ったのか思い出せなくて、私もお母さんに聞いたんだけど、いつだろうねって……おかしいなって思ったんだけど、でもどうしても捨てたりする気になれなくて……」
「ヒカリちゃんもなんだ。僕も、この懐中時計、ずっと持ってなきゃって思って手放せないんだー」
「大輔くんのホイッスルもだよね?」
「……うん」
『……みんな、どうしてあるのか分からないけど、大切なもの持ってるの?』
『何かすっげー偶然だな』
「不思議だねー」
『ねー』












大きなコンピューターのスクリーンに映し出されたのは、海にポツンと浮かぶ孤島であった。
鋭角に聳え立っている山を中心に、四季が1つの場所に集められたように、色とりどりの光景を映し出している。
君達が今いるのはここだ、とアンドロモンは手のひらサイズほどある手元のパネルに手を乗せる。
地図がズームされて、外で見た工場が映し出された。

「……本当に島だったんだ」

丈が何処か呆然と呟いていた。
徐々に現実を受け入れつつあった丈であったが、やはり目の前で事実を突きつけられたことは、大変なショックであったようだ。

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