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竜のもうひとつの瞳
第六十三話
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てことは史実通りの展開、ってことなのかね。

 「第六天魔王がですか? 魔王は、安土城で討たれたと聞きましたが」

 立花さんの言葉に慶次が眉を顰めていた。私もまたそれには眉を顰めている。

 「うん。そうなんだけど、命からがら魔王が脱出を試みてね。本能寺まで逃げてきたんだよ。
明智の謀反で既に本能寺は焼け跡になっていてさ、身を隠す場所も無かったからすぐに見つかってね。
……それでも強い相手だったよ。幸村も伊達男も手負いの魔王相手に辛勝だったからね」

 明智の謀反? 本能寺の変が起こったってこと? にしては、少し変だ。

 「明智が謀反を起こしたって……何で信長が到着する前に焼け跡になってるのよ」

 「安土城に入る前に魔王は本能寺に詰めている、っていう偽の情報が流れたんだ。それに明智が踊らされて本能寺に攻撃を仕掛けたわけだ。
俺らも踊らされたわけだけど、結局あの場は個人的に恨みがあるからと、竜の右目が明智を倒す役目を買って出てくれてね。
安土城へと急いだのさ」

 「……個人的な恨み、ね」

 個人的な恨みに心当たりのある私は思わず渋い顔をしてしまった。
まぁ……アイツだけは叩き殺したいでしょうよ。私だって目の前に現れたら切り殺したいもん。
小十郎にしてみれば、危うく貞操を奪われそうになった相手なわけだしね。
しかもかなりアブノーマルな方法で。

 「なるほど……だから連中、信長が死んだこの場所で儀式を行おうと」

 「それに、豊臣が織田の残党狩りをやったもんだから安土城はここよりも酷い有様になってる。
とてもじゃないけど、人が踏み入れるほど原型を留めちゃいないよ」

 なるほどねぇ……。織田の残党狩りをやることで豊臣は力を示した、そういうわけかな?

 とりあえず、調査をしてみないと何とも言えない。私達は揃って本能寺へと踏み込んで行った。
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