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或る皇国将校の回想録
第五部〈皇国〉軍の矜持
第八十一話 六芒郭顛末(下)
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めるのです‥‥」

「駒州の中だ。御育預殿に対抗して貴様を持ち上げようとする連中がいる」

「私の家格で28で大佐。父は准将で大臣官房の理事官です。
勲章と年金ならありがたく受け取りますが、これ以上何を望めというのです」
「そうか、良かったな有り難く受け取れ」「は?」
「勲三等桜花大褒章と功二等金龍章の受勲が決まったぞ、良かったな」
「は?」
「駒州公士族独立混成第十四聯隊長陸軍大佐勲三等功二級士馬堂朝臣豊久だ。
じきに公文書にそう記される」

 豊久は唸るように言った。
「父上も勲三等です」「来年には勲二等にする。情勢次第では少将だ」

「そもそも勲三等は准将相当の筈です」
「なりたいのか」「冗談はよしてください」

「なら黙っていろ。年末に戦勝式典がある。特別な事情がなければそのまま皇都で執政殿の手で受勲だ」

 さてそれならば、と豊久は算盤を弾く。駒州の身内は面倒、外も面倒だがそれならば利が出る面倒の方が良い。あと怖い人が居るし
「療養の間は虎城にいるよりは皇都に戻ろうと思いますが」

 何故か益満がとんでもない大莫迦を見る目で豊久を見た。
「貴様、何を言っているんだ、止めてくれ頼むから」
 
「六芒郭大籠城、駒州軍の後手の一撃、〈帝国〉軍中枢に大打撃」

「え??」「七十七日篭城を耐え抜き、鮮やかな脱出!栄えありや不沈の守手、新城直衛少佐!
駒州公の懐刀、砲虎の馬堂。駒州の双璧なりや」
「は???」
 
 愛想のかけらも込めずに淡々と冷たい声で読み上げられる扇情的な記事の見出しが豊久の精神を抉る。

「他の皇都の新聞読みますか?瓦版もありますよ。こちらの方はさらにすさまじいですが」
 益満は額を抑え、ため息をついた。
「‥‥まぁそういうことだ、皇都ではお祭り騒ぎだ。
それを煽っている奴は貴様と御育預殿の足下を掬おうとしている。今、貴様がなにをしても騒がれ、それは駒城にとっても不都合だ。
こちらで上手く処理をしておくから、貴様はしばらく虎城と皇都から離れろ。領地で休め」

「……なんてこった」
 虎城の豪雨は銃後に燻る火種を消すことはなく、それは徐々に天を焦がす程へ燃え広がりつつあった。

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