暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第42話「鋼の腕の伴奏者」
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ゃない。カウンセリングってのはな、相手に寄り添い、支えてやる事なんだ。特別な資格なんかなくたっていい。ただ、相手を支えてやりたいって気持ちと、ちょっとの勇気があればいい」
「でも……セレナは俺のせいで……」
「お前があそこで突き飛ばしてくれなきゃ、セレナは即死だった。お前があの子を死から救ったんだ」
「でも、もし失敗したらマリィを傷つける……」
「かのアインシュタインは言った。『失敗したことのない人間というのは、挑戦をしたことのない人間である』、そして『成功者になろうとしてはいけない。価値のある男になるべきだ』とな」
「価値のある男……?」
「そうだ。俺がお前にマリアを任せると言っているのは、お前に彼女を任せるだけの価値があるからだ」

俺には、アドルフ博士の言葉の意味が分からなかった。
それを見透かしたように、アドルフ博士は俺の肩に手を置き、滅多に取らないサングラスを外して、俺の目を真っ直ぐに見てこう言った。

「このままいけば、マリアの心は壊れてしまうかもしれん。だが、プロフェッサーを除いた他の研究者共は、そんな事に関心などない。たかがモルモット一匹、ダメになったところでいつでも補充できるからな」
「マリィが……用済みに……!?」
「そうだ。そうなれば彼女がどうなるか……あの場に居たお前は、言わなくても分かるな?」

俺はゆっくりと頷く。
怒りたい気持ちはあったが、そうしたところでどうにもならない事を知っていた。16歳のガキに出来る事なんて、たかが知れている。

「よし。なら、言い方を変えよう。ツェルト、お前、アベンジャーズとか好きだったろ?」
「え? ええ、大好きですけど……」

唐突な話題に困惑する俺。
そんな俺を見てニヤッと笑った後、アドルフ博士が俺に言った言葉が、俺のこれからを決定づけた。

「お前がマリアのヒーローになるんだ。お前がマリアを救うんだよ」
「俺が……マリアを……?」
「ああ。これはお前にしかできない、お前だけのミッションだ」

アドルフ博士はそう言って、俺の肩をポンっと叩いた。

「こいつは決して簡単なミッションじゃない。時に現実という壁にぶち当たって、悩むこともあるだろう。だが、現実とはただのまやかしだ。とてもしつこいがね。それでも抗え、立ち上がれ。お前が大好きなヒーロー達は、そうやって何度も世界を守って来ただろう?」

そうだ。隻腕になっても、鋼の腕で親友と共に戦った兵士がいた。

爆弾の破片が心臓付近に食い込んでも、暗い穴倉から脱出し、鉄の意志を抱くヒーローになった天才発明家がいた。

事故で両腕を失っても諦めきれず、縋る思いで辿り着いた異国の地で魔法を学び、最強の魔法使いになった天才外科医がいた。

力を得て調子に乗ったばっかりに叔父を喪い、その遺
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ