暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第42話「鋼の腕の伴奏者」
[9/9]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
放物線を描いてウェルの影へと刺さった。
ウェルの腕が宙で、まるで針で縫い留められたように動かなくなる。

〈影縫い〉

「が──ッ!? ぐぐ……ッ!」
「あなたの好きにはさせませんッ!」

緒川の得意とする忍術、影縫いだ。これでウェルの左腕は動かない。
誰もが、これで終わりだと確信した、その時だった。

「奇跡が一生懸命の報酬なら……僕にこそおおお……ッ!!」
「ッ!? お前……ッ!?」

顔に浮き出た血管が、強引に動かした左腕が裂け、勢いよく血が噴き出す。
だが、もはやそんな事を気にするウェルではない。

ただ、彼は生きてきた中で一番悔しかった。
一番気に食わなかった男の事を一瞬だけでも、英雄らしい、などと思ってしまった事が、この上ない程に悔しかった。

だから彼は……ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスは、装者も、統治するには手に余る人類も、世界で一番気に食わない男も、左手に繋いだフロンティアにて全てを駆逐すべく、ついには血の涙を流して奇跡を起こしてみせた。

およそ奇跡と呼ぶには似つかわしくない、滅亡級の災厄という最悪の奇跡を……。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ