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戦国異伝供書
第九十三話 安芸の掌握その五

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「だからな、我等にもな」
「出陣の話が来ますか」
「その様な話がですか」
「来るのですか」
「おそらくな、だからな」 
 だからだというのだ。
「よいな」
「はい、それではですな」
「我等もですな」
「出陣して」
「そのうえで戦いますな」
「そうなる」 
 まさにというのだ。
「そのことはわかったな」
「はい、それでは」
「その時はですな」
「我等も出陣し」
「そしてですか」
「戦うことになる、しかし」
 元就はこうも言った。
「この戦おそらく敗れる」
「尼子家は強い」
「だからですな」
「幾ら陶殿が攻められようとも」
「それでもですな」
「大内家は敗れる」
 そうなるというのだ。
「だからな」
「その時どうするか」
「負け戦の中で」
「果たしてどうするか、ですか」
「左様、では戦になればな」
 その時はというのだ。
「我等は出来るだけ傷を受けずにな」
「それで、ですな」
「そのうえで、ですな」
「果たしてどう利を得るか」
「そのことも考えていかれますか」
「そうじゃ、負け戦になるのなら出来るだけこちらは傷を受けぬ様にする」 
 元就は大内家が敗れるのは確信している、そこから言うのだった。
「そして戦に出るならな」
「損はせぬ」
「決して」
「例え負けても」
「それが殿のお考えですな」
「この場合損をするのは大内家でよい」 
 今度は冷徹な声で述べた、顔もそうなっている。
「我等は負け戦の中においてもじゃ」
「利を得る」
「そうしますか」
「戦になれば」
「そうなる様にしますか」
「必ずな」
 こう言ってだった、元就はまずは手中に収めた安芸の政を行っていった。それは順調であったが彼の予想通りだった。
 大内家から文が来てそれを読むとだった。
「やはりな」
「出陣ですか」
「そのお話ですか」
「そのお話を持ってきましたか」
「うむ」
 実際にというのだ。
「そうしてきた」
「では、ですな」
「我等はですな」
「これよりですな」
「出陣の用意に入りますな」
「そうする、しかし陶殿は止まらぬな」
 元就はこうも言った。
「突き進む御仁じゃ」
「確かに。殿の言われる通り」
「そうした御仁ですな」
「戦だと思えば止まらず」
「戦の場でも突き進まれますな」
「采配は的確で武勇があるが」
 しかしというのだ。
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