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戦国異伝供書
第九十三話 安芸の掌握その一

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                第九十三話  安芸の掌握
 尼子家を退けた元就の名声は一気に上がった、それでだった。
 安芸の国人達はまずは小さい者達から彼に従う様になっていっていた、それは元就の敵である武田家の下にいる者達も同じで。
 毛利家の勢力はかなり大きくなった、だがここで彼は主な家臣達に話した。
「さて、これまで話した通りな」
「吉川家と小早川家ですな」
 志道が元就に言ってきた。
「左様ですな」
「うむ、あの二つの家をな」
 まさにとだ、元就は志道に答えた。
「当家に組み入れる」
「そうしますな」
「あの二つの家を組み入れるとな」
 まさにというのだ。
「当家の安芸での力は絶対のものとなり」
「安芸の掌握にですな」
「大きく近付く」
「安芸の石高は四十万石です」
 今度は桂が言ってきた。
「それだけあればです」
「うむ、かなりの力であるな」
「はい、これまでとはうって変わり」
「一角の家になったと言えるな」
「そこまでなれば」
「それでもまだ大内家や尼子家には遥かに及ばぬが」
 それでもというのだ。
「確かにじゃ」
「そこまでの家になりますな」
「左様、だからな」
 それだけにというのだ。
「ここはじゃ」
「吉川家と小早川家を組み込む」
「小早川家は沼田と竹原に分かれておるが」
 それでもというのだ。
「双方いがみ合いしかもじゃ」
「確かな主殿がおられませぬな」
「そして吉川家には跡継ぎがおられぬ」
「ならですか」
「その吉川家と小早川家にじゃ」
 双方にというのだ。
「当家から主を入れてな」
「組み入れるのですな」
「そうする、両家の主な家臣達を取り込み」
 当家にというのだ。
「今の主殿にもよく話をしてな」
「そうしてですな」
「両家を組み入れる、滅ぼすことはせぬ」
「戦で」
「そうせずにじゃ」
 そのうえでというのだ。
「ここはじゃ」
「あの両家をですな」
「組み入れる、では早速じゃ」
 元就はさらに話した。
「両家と話をしていくぞ」
「わかり申した」
「そうしてですな」
「そのうえで、ですな」
「我等は確かな勢力になりますな」
「左様、それで一番の問題じゃが」
 一呼吸置いてだった、元就は述べた。
「どの家に誰を送り込むかじゃ」
「誰にされますか」
 今度は元網が問うた。
「それで」
「うむ、吉川家には二郎でじゃ」
 元就の次男である彼をというのだ。
「そして小早川家は沼田と竹原の両家を結び付けさせてな」
「その後で」
「四郎を入れる」
 元就の三男である彼だというのだ。
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