第1部
アッサラーム〜イシス
砂漠での冒険
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「これが砂漠……!?」
見渡す限り一面砂の大地が広がっている。雲一つない青空に、どこまでも続くオレンジ色の地平線。
しばし自然の美しさに唖然とするが、すぐに不快感を感じ我に返る。
「うあ〜、暑っち〜よマジで!! 砂漠ってこんな暑いのか?」
ナギも砂漠は初体験らしく、あまりの暑さに汗だくになりながら文句を言っている。
夕べの言動は一体なんだったのか?ってくらい今日のナギはいつもと変わらない。今朝は日の出とともに出発の予定だったが、意外にも一番早く仕度を終えたのはナギだった。……ちなみにビリは私。我ながら情けない。
ともあれ予定通りに宿を出て、ドリスさんの家でルカと合流したあと、私たちは砂漠があるアッサラームの南西へと向かった。
町を出てしばらくは草木も生えていたのだが、進むにつれ徐々に砂と岩ばかりになり、ついに緑が一切なくなった。それと同時に太陽も昇り続けているので、自然と気温も上がる。今日は雲一つない晴天で、太陽を遮るものはなにもない。それが逆に尋常ではない暑さをもたらした。
そしてナギの言うとおり、彼の服は黒い長袖のインナーを着ているため、よけい熱が籠りやすい。かくいう私も分厚い生地の武闘着を着ているので、籠った熱と照りつける太陽で、さらに暑さが増しているように感じる。
たまらずナギが上着を脱ごうとすると、同行していた私の弟、ルカに止められた。
「むやみに服を脱ぐのはやめた方がいいですよ!」
「え、なんでだ? この暑さで長袖着てたんじゃゆでダコになっちまうぞ」
「あまり肌を出すと太陽の熱で火傷してしまうんで、なるべく長袖を着ていてください」
「そんなに熱くなるの?! 太陽の熱で?!」
私は驚いて、腕捲りをしようとしていたのを止めた。
それを聞いてふと、シーラがバニースーツのままなことに気がついた。
「シーラ、その格好で砂漠なんか歩いたら危険じゃない?」
本人も今気づいたのか、舌をぺろっと出して苦笑した。
「あ〜、あたし砂漠なんか行ったことないからわかんなかったよ☆ でも、なんとかなるよ♪」
「いやいや、なんともならないって! ええと、私の着替えで良ければ貸すよ! 武闘着だけど!」
「気づかなくてすいません! シーラさん、オレのターバンで良ければ使ってください。こうやって、体に巻き付ければ……」
「るーくん、それやったら動けないと思うよ☆ でも、ありがとう二人とも」
がっくりと膝をつく私たち姉弟。さすがにこのままじゃ連れていけない、と思ったそのとき、今まで静観していたユウリが、自身が身に付けているマントを外し、無言でシーラに渡した。
「え……あ、ありがとう、ユウリち
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