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神機楼戦記オクトメディウム
第6話 千影と決闘士:前編
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少年漫画のヒーローやライバルのような成分が含まれているのだ。
 勿論、そんな性格は姫子には隠していた。オタク気質の彼女に知られでもしたら、過剰に持て囃されるのは目に見えているのであるから。
 幸い、クールな立ち振る舞いのお陰で、その事は姫子を含めて余り周りには悟られてはいないようだ。さながらどこかの『古い鉄』のパイロットである。
 ともあれ、今こうして現代において忍たる自分と渡り合う者と出会えたのだ。故に彼女は今この時を余す事なく味わい尽くすよう心に決めたのであった。
(それならば……)
 そう思い至った千影は、この貴重な好敵手との戦いに勝つ為に、より確実な方法を選ぶに至ったのであった。
 それは、今たまと対峙している所から身をくらますというものであった。
「!?」
 当然たまは驚く。今まで目の前で対峙していた者が忽然として姿を消したのだから。
 その展開を目の当たりにしたたまは、驚愕の様子でどこかにいる千影へと言葉を投げ掛ける。
「あなた、逃げる気!?」
 分が悪くなったから敵から逃げる。そのような事は自分の肉体を磨く鍛錬を怠らなかったたまにとって居心地の悪い話題なのだ。だから彼女は憤慨しそうになるが。
「安心しなさい、確かに『逃げた』」けど、『勝負は放棄してはいない』から」
 そのようにどこからともなく千影から声が返ってきたのであった。
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