暁 〜小説投稿サイト〜
至誠一貫
第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十四 〜会議と密談〜
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とりあえず、茶でも所望するか。
 そう思い、茶碗に手を伸ばそうとした。
 ……と。
 不意に、その腕を掴まれた。

「麗羽?」
「……お、お師様! わたくし、一生のお願いがございます!」

 その手は、震えていた。

「華琳さんとの戦に決着がつきましたら……。わたくしも、お師様のお情けをいただきたいと」
「……意味をわかった上で言ってるのであろうな?」
「勿論ですわ!……ま、まだ未経験ではありますが、何をするのかぐらいは……」
「お前は素性の知れぬ私とは違う。名家である袁一族の当主だぞ?」
「それも……わかっていますわ」
「この事、私以外に知る者は?」

 黙って頭を振る麗羽。
 最も、べらべらと言い触らして良い類の話ではないが。
 うむむ、これは迂闊に返答は出来ぬ。

「決意は揺るがぬのだな?」
「はい! お慕いする方は、もうお師様以外には考えられません」
「……華琳に勝てるとは限らぬぞ? 敗れて、骸を晒す事になるやも知れぬ」
「それはありませんわ。お師様と一緒なら、例え大陸中が敵に回っても負ける気がしません」
「言うようになったな。……ならば、戦が終わった後に風らと諮る。今はこれ以上は申せぬ」
「……ありがとうございます」

 麗羽の震えが止まったようだ。

「さて、茶をもう一杯頼む。喉が渇いた」
「え、ええ!」

 しかし、これでは益々死ぬ訳には行かなくなったようだ。
 ならば、精々抗わせて貰うとするか。

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