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神機楼戦記オクトメディウム
第2話 戦士達の帰還
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うであった。
「よくやりました千影さん。それではこれからご帰還下さい。詳しい話は直接聞きますよ。──ともあれ今回もお手柄でした」
「ありがとうございます……『和希』さん」
 スマホの向こうの声の主──和希に労われた千影は、満更でもなさそうにして声を返すと、彼が受話器を切る音を聞き届けるのであった。
 そして、そのまま意識を姫子に向けるのだった。
「さあ姫子さん、和希さん達の元へ帰りましょう」
「そうだね♪」

◇ ◇ ◇

 無事に街を混乱から救った千影と姫子は、その足である場所へと帰還していたのであった。
 そこは、とある神社であった。彼女達が巫女ならば、それは至極真っ当な流れと言えるだろう。
 そして、その神社の名は『大神神社』と呼ばれる所なのであった。
 現在千影と姫子は、それぞれの巫女装束のまま和希なる人物と対面していたのである。それは、和希が神事を行う者であるから、彼女達もまだその為の『仕事着』である必要があるのであった。
 どうやら、話はもうじき終わる所のようである。
「……分かりました。『怪肢』による犠牲者は、今回も一人も出ずに済んだ……そういう事ですね?」
「「はい」」
 その和希の問いに、巫女二人ははっきりと答えるのであった。自分達の司令官とも言えるような者の前で、曖昧な態度など出来ないからである。
 だが、どうやらその和希なる人物は司令官といっても、映画に出て来るような畏怖の対象ではないようだ。
 彼は物腰柔らかい態度で二人の話を聞きながら、そして今その表情を優しいものへと変貌させるのであった。
「お手柄ですよ千影さんに姫子さん。喜ばしい限りです、今回も一人の犠牲者も出す事なく騒動を解決するなんて」
 そう労われた巫女二人は、雪解けのようにその表情を晴れやかなものとするのであった。
「「ありがとうございます、和希さん」」
 そして、迷う事なく二人は和希へ歓喜の言葉で以て返すのだった。
 そう、これこそが姫子がこの仕事を引き受けている第三の要因であったのだ。──この大神和希の人柄の賜物という訳である。
 司令官的存在である大神和希は、その指導力に加えて人柄でも人を纏め上げるセンスがあったのである。
 それは、まず優しさから来るものであろう。世の中にはそのような要素を持たない、他者に容赦ない者こそカリスマ性を発揮して人を従えるという世知辛い現実があるのだが、この大神和希はそれらとは無縁の振る舞いをして見せるのであった。
 勿論、優しいだけでは良い指導者にはなれないだろう。
 その点でも和希は心得ていたのであった。基本的には優しさで接するが、時に人が間違いを犯す、または犯しそうになる時は柔軟な判断にて厳しさも見せるのであった。
 そう、つまり彼は優しさと厳しさを兼ねた人格者であったのだ。
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