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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第28話:狂宴の幕開け
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gungnir zizzl」

 シンフォギアを纏い、奏は飛んでくるメイジを睨みつける。

 向かってくるメイジは目に映る限りで総勢10人。颯人がウィザーソードガンで迎撃し何人かには命中したが、メイジ達は構わず突っ込んできた。

 損害を気にせず突撃してくるメイジ達に、奏は舌打ちしウィザードは仮面の奥で忌々し気に顔を顰める。

「ったく、しょうがねえなぁ──! お前らも俺のマジックショーの虜にしてやるよ!」

 颯人の銃撃を切り抜けて接近してきたメイジが2人、左手のスクラッチネイルで斬りかかってくる。

 左右から迫る攻撃を、颯人はバイクの上で跳躍して回避しバイクに着地する瞬間、ソードモードにしたウィザーソードガンで切り裂いた。

「ぐあっ?!」
「がはっ?!」

 ウィザードに切られたメイジ2人は、ライドスクレイパーから転げ落ちて後方に流されていく。普通なら大怪我どころか死亡する危険もあるが、魔法使いであればあの程度なら怪我で済む。

「さぁ、タネも仕掛けもないマジックショーの開幕だ!」




***




 二課とジェネシスの戦いの火蓋が切られた頃、とある洞窟の中にウィズは居た。洞窟の中は幾つかの部屋に分けられており、それぞれの部屋の前には扉も付けられている。

 その扉の一つをウィズが空けると、そこには全身を黒いローブで覆い隠した人物が居た。

 ウィズはその人物に近付くと、手にしていた宝石のような物を渡した。

「待たせた、漸く見つける事が出来たぞ。これだ」

 赤いルビーの様なそれを受け取ったローブの人物は、満足そうに頷いた。

 その人物はそのまま席に着き、目の前の机に置かれた器具でそのルビーのような石を削り始めた。

 が、徐に何を思ったのか作業を中断してウィズの事を見やる。その視線が何を言いたいのかを察したウィズは、その人物が何かを言う前に口を開いた。

「今回は颯人達に任せる。ワイズマンが出ないのであれば、あいつだけでもなんとかなるだろ。一応装者達も居るのだ、心配はいらん」

 ウィズの言葉に、ローブの人物は何かを躊躇するように軽く俯き、直ぐに気持ちを切り替えたのか作業を再開した。

 その様子を眺めながら、ウィズは今正に戦闘の真っただ中だろう颯人に思いを馳せた。

──すまんな、今回はお前に任せるぞ──

 心中でそう呟く、ウィズの声は誰に届くこともなく洞窟の闇の中に消えていくのだった。
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