始動
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「そのままの意味だ。自分を偽り、覆い隠し続けて何がしたい?近い将来、その仮面は脱げる」
何も言い返す事が出来ない。ハルマは今まで自分を偽って生きてきた。暗部の者達の暗躍などもあり、今日まで隠し通せてきたが、それがいつまで保つかは分からない。
仮面が取れた時、自分がどうなるのか。ハルマには想像もつかなかった。想像すらしてこなかった。もし、その時が来たら自分はどうなっているのだろうか。
「自分で変えるしかないぞ。世界を自分の思うがままに動かせる位置に立つしか、な」
動悸が速くなる。気付いた時には潮から距離を取ろうと駆け出していた。
「まだまだ子供か……」
里の外れにある千手一族自治区にある木造のアパートの1階1号室。3代目火影・猿飛ヒルゼンはそこにいた。そばには犬の仮面をつけた暗部と黄色の浴衣を着た女性 葛葉リンネがいる。茶髪をルーズサイドテールにして纏めている彼女は部屋の中をぐるりと見回す。
部屋にあるのは冷蔵庫と幾つかの皿やコップ。テーブルと椅子、それとベッドにタンスぐらいだった。後はクナイ、手裏剣、巻物といった忍具が置いてあるのみだ。
「……ここがハルマ君の家ですか」
あまりにも物が少ない。それが最初に彼女が抱いた感想だった。無駄な物を一切置いていないのは忍らしくもあるが、忍者学校の評価とは一致しない。
「(ダンゾウ様の仰る通りかなぁ、これは。何年前から自分を偽っているのかしら……うちはが滅ぶよりも前?後?)」
「そうじゃ」
とても興味深い。流石ははたけカカシが教育係なだけはあるという事か。それとも、うちはの教育が良かったのか……。そう考えると彼らが滅んでしまったのは少し勿体ない気もする。
「火影様。千手の居住区に長居するのは危険です。なるべく手短に」
「……心配するな。千手一族はそんな事をする程愚かではない」
暗部の男の言葉に、ヒルゼンは顔を曇らせる。千手一族は木ノ葉創設に関わった一族。初代火影は千手柱間が務めていた。しかし、今の彼らは害虫のようなものだ。さっさと取り潰してしまえばいいとも思うが、腐っても千手一族というべきか。その影響力は健在だ。
だからこそ、その対応に苦慮しているのだろう。苦々しい顔をしていた主の顔を思い出し、リンネは苦笑いを浮かべる。
「千手一族はハルマ君に刺客を送り込んでいるみたいですが、やり方に杜撰さが目立ちます」
「ハルマ君を殺すか、利用するか迷い始めているみたいですね」
ハルマの持つモノの価値は魅力的だ。千手側も木ノ葉側もそれを手放したくないのだろう。危険視して排除する方向から、利用する方向に舵を切り始めている。
ハルマがどちらを選んでも居場所はないが、その方が根にとっ
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