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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第十九話 巣立ちの準備
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「ああ。ヤンにとっても縁は薄くないぞ」
「どういう事です?」

 意外にもキャゼルヌ中佐はカヴァッリ大尉を知っていた。士官学校卒なら、年が近ければ先輩後輩の間柄ってのは有り得る事だ。
「カヴァッリ大尉は士官学校の後輩でな。俺が候補生三年の時の一年生だった。彼女はリンチ少将の身内なんだ。ヤンとは被ってないな、なあ、ヤン?」
「よく覚えてないですね」
「…お前さんの歴史以外の記憶力に期待したのが間違いだったよ。…才気煥発、という程ではなかったが、行動力には不足のない印象だったな。当時はリンチ少将も士官学校で教官をしていたから、肩身の狭い思いをしていたようだ」
「でも先輩、そんな昔の事よく覚えていますね」
「俺はまだ二十七だぞ。記憶力に偏りのあるお前さんが異常なんだ」
 くそっ、アニメのままの声だから、ついニヤニヤしてしまう。
「ウィンチェスター、何がおかしいんだい?」
「いや、お二人は本当に友人同士なんだなあと思いまして」
「そうだね。先輩でなければとっくに友達付き合いを止めているところなんだけどね」
「おいおい、俺が友達でなくなったらお前さん、栄養失調どころか、餓死してしまうぞ?」
「すべてオルタンスさんの功績じゃないですか」
「…とにかくだ、得難い友人同士という訳だ」

 年の離れた友人というのは、本当に羨ましい。先輩後輩の間柄でも分け隔てなく接するキャゼルヌさんの人柄による所が大なんだろうな。
「そういえば、ヤン中尉…ではない、ヤン少佐はエコニアに行かれてたんですよね?ケーフェンヒラー大佐はどういう人でしたか?」
「君はケーフェンヒラー大佐を知っているのか?」
「軍内部の電子新聞の片隅に訃報が載っていましたからね。捕虜収容所の不正を暴くのに協力した、とか…ヤン少佐が暴いたんですよね?すごいなあ」
「あれは…私は何もしていないよ」
「でも少佐の存在がキッカケとなったのではありませんか?」
「…何故だい?」
「不正を働いている側からすればですよ、英雄と呼ばれているヤン少佐がいきなり赴任してくれば、これは何かあると勘繰るのは当然ではないかなあと思うからですよ。ましてやエコニアは辺境だ。英雄の赴任先には相応しくない、と誰もが思うでしょう。時期から言って耳目を集めやすい。不正を働いている者からすれば、大人しくするか、逆に注目される前にどうにかしてやろうと思うでしょうから」
「…キャゼルヌ先輩、どうです?優秀な若者でしょう?」
「お前さんも充分若いがね。いやはや、確かにすごいな。エコニアにヤンを行かせたのは俺なんだ。英雄騒ぎのほとぼりを冷ますのに丁度いいかなと思ってね。確かに不正の噂も前からあったし、どうにかしなくてはとも思っていたからからな、ちょっとした爆弾を落として診ようと思ったのさ。まあ、ヤン自身も歴史的探求
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