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剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ
074話 記憶巡り編 とある視点で見る記憶 その1
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は記憶を無くしていた。

周りにも他にも被災孤児がいたにはいたけど、それでも士郎さんは興味を示していない。
いや、あれは感情もなくしたような感じで、目に光が灯っていなかった…。

「そんな……士郎さん」

ネギ君がそれでどこか自分を見るような感情を向けている。
わたしはまだネギ君の過去になにがあったのかは見せてもらっていないけど、アスナなんかは苦々しい顔になっている。
おそらくネギ君以上にひどい光景だったんだろうね。

士郎さんを診ていた医師がこう言った。

『……君以外にはあの区域では生きている人はいなかったんだ…』

正直に話すのもまぁ現実を分からせるのはいいと思う。
でも、それでも士郎さんはただただ薄い反応しか示していない。
そこがどこか物悲しくて…。
しかし、わたしは感じる。
きっともう少ししたらあのおじさんがやってくるのだと!

あの人がなにもない空っぽの士郎さんに新たな命と指針を吹き込むのだとわたしは確信している。
そしてわたしの期待通りにそのおじさんはやってきた。

『やあ。君が士郎君だね』
『おじさんは誰だ…?』
『僕かい? 僕の名前は衛宮切嗣というんだ。それでだけどね、率直に聞くけど、知らないおじさんに引き取られるのと、孤児院に引き取られるのはどっちがいいかな?』

うんうん。導入としてはいい感じよね。
こんな二択を迫られたら普通にこの切嗣さんに引き取られた方が良物件だもんねぇ。
なぁんか、もうすでに匂うものがあるかしらん…?
なんで士郎さんなのか? それじゃ他の子どもたちはこれから普通に孤児院に引き取られてしまうのか…?
切嗣さんの気まぐれでもあるまいし…………くぅ、きっとあの意識が暗転した後に切嗣さんが士郎さんになにかしらの事をやったんだろうなぁ! 記憶が途絶えた後でもシーンが続いているもんだったらよかったのに、惜しい!!
なんか後程にこの引き取られなかった子供とかがふとした時にばったり現れたりするもんよねー。
とりあえず顔だけでも覚えていても損はないと思う…。

そして、士郎さんは切嗣さんに引き取られる事になったんだけど、切嗣さんはまたしてもわたしの厨二心をくすぐるセリフを言いましたよ!

『そうだ、大事なことを言い忘れていたんだ』
『……?』
『最初にこれだけは言っておかないといけないんだ。うん……実を言うとね、僕は、魔法使いなんだ……』

それで士郎さんは素直に『すげー!』とか言っていたけど、あきらかにこれは裏世界に巻き込まれるフラグよね。うんうん、わかるよー。

「こりゃ……のちほどに巻き込まれる要素が満載だねー」
『そういうものですか? 朝倉さん?』

朝倉も感じ取ったのかそう零している。
やっぱり思う事は同じって事ね!
……――
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