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黒魔術師松本沙耶香 糸師篇
第十四章

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「巣鴨や大塚もね」
「それに鶯谷もですね」
「お酒と女の子、香水がある場所は好きよ」
 紗耶香はアラスカ=カクテルが前に置かれるとそれを手に取って絵になる動きで飲みつつ隣の彼に話した。
「お昼でも夜でもね」
「そういうことですね」
「健全な場所は性に合わないのよ」
「退廃ですね」
「私はそちらが好きよ、ただ相手があちらにいるなら」
 原宿、紗耶香にとってはどうも合わないと感じるこの場所でもというのだ。
「明日も行って来るわ」
「そうしてですね」
「ええ、今回の事件を解決してくるわ」
「宜しくお願いします」
「それでね、あと捜査中の食費やそういったお金はね」
 そういったものはというと。
「私で出すから」
「貴女ご自身のことは」
「気にしないでね」
「いつも通りですね」
「ええ、私自身のことは私でやるから」
 金のこともというのだ。
「気にしないでいいわ」
「それでは」
「お金には不自由していないから」
 紗耶香は飲みつつ笑って話した。
「このお仕事は特別で大変なだけにね」
「報酬も多いですからね」
「一度のお仕事でゼロが少なくとも七つも付く報酬が貰えるお仕事だから」
「それにお店の方もですね」
「いつも繁盛しているわ」
 道玄坂にあるその店の方もというのだ。
「だからね」
「お金のことはね」
「こちらは気にしないで」
「いてね、そして無事に終わることも」
 このこともというのだ。
「いつも通りね」
「気にしないで、いえこの場合は安心してですね」
「待っていてね」
「そうさせて頂きます」
「そういうことでね」 
 紗耶香はカクテルを楽しみつつ話した、そしてこの夜は酒の後で鶯谷の方に行き。
 ホテルに入りそこから電話をかけ女を呼び楽しんだ、そして翌朝その女と共に部屋を出てから彼女に話した。
「また呼んでいいかしら」
「はい、ご指名なら」
 小柄で茶色の長い髪の毛をウェーブにさせている二十歳位の女だ、八重歯があどけない印象を与える。服はデニムのミニスカートとセーターという恰好でその上からコートを羽織っている。
「是非」
「そうさせてもらうわね。昨夜は楽しめたわ」
 紗耶香はホテルを出つつ隣にいる彼女に妖しい笑みを向けて話した。
「だからまたね」
「宜しくお願いします」 
 既に金は渡してある、それでそちらのこともあっさりとしてだった。
 紗耶香は女と別れ魔術で原宿に一瞬で着いた、そうしてこの日も分身達を使い事件の手掛かりを探していたが。
 今度は原宿のある店の屋上で大柄な黒人を見た、その黒人が自分を見下ろしているのを見てすぐに察した。
 それで自分から宙に上がりふわりと彼の前に着地した、そのうえで彼に問うた。
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