暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第五話 パランティア星域の遭遇戦(前)
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
中から、自艦の武装の有効射程内に入っている目標までの距離を射撃用センサーで精密に測距して、それを射撃担当…射撃員に伝える事だ。そして射撃員が我々が伝えたパラメータを元に目標を直接照準して射撃準備が完成する。
アニメでは艦隊戦闘が始まる時『敵、有効射程に入りました!』『撃て!』なんてシーンがある。あのセリフの前には我々射管員の仕事が隠されている、という訳だ。
あらかじめ指定されない限り、自艦が味方集団の先頭にいると考えて有効射程内ギリギリにいる目標から先に測距していく。なぜなら味方集団…艦隊陣形には奥行きがあるから。陣形の先頭の艦と後方に位置する艦では有効射程が違うので、狙う目標も変わってくるのだ。常に敵艦隊の奥を狙うようにしておけば、各艦の射撃時に照準が被る事が少なくなるだろう、という考え方だ。

 「そうなんですね!そういう事兵科学校では習わなかったです。管制卓の使い方しか習いませんでした」
ファーブル兵長が感心感心、と腕組している。…感心している場合じゃないよ??君の仕事でもあるんだからね??
「僕が主砲を担当するから、君はミサイル手にデータを送るんだ、分かったね」
「はい!…ところで、ウィンチェスター兵曹って、まだ十八歳なんですよね?」
「そうだけど…やっぱり年下に指示されるって嫌なものかい?」
「いえ!…やっぱり少し気になります。でも仕事出来そうな感じじゃないですか、ウィンチェスター兵曹は。だから平気ですよ」
ぐ…はっきり言ってくれるなあ。でもはっきり言ってくれた方が変なしこりを残さなくていいか。
…オットーとマイクは上手くやってるかな。




4月20日13:00 パランティア星系外縁部、エル・ファシル警備艦隊第2分艦隊、
旗艦アウストラ パオラ・カヴァッリ

 「司令、我が隊はパランティア星系に到着しました。帝国軍はちょうど星系公転面の我々の反対側に位置するものと思われます」
「おう。近いな」
分艦隊司令のダウニー准将と主任参謀のドッジ大佐だ。
「艦長、横陣にするので艦を中央に頼む」
「了解しました」
艦長のパークス大佐の了解が聞こえると同時に副長のバーン少佐、航海長ピアソン大尉、航法管制主任デクスター中尉が動き出した。アウストラは旗艦だから、分艦隊に関わる仕事もこなさねばならない。
副長から艦長に報告が上がる。艦長はそれを司令に報告する。
「司令、各艦の位置計算および各艦への座標の伝達、終了しました。以後、横陣形における位置計算および座標伝達は自動となります」
「ありがとう、艦長」
球形陣から横陣への変換に約十五分。私はこの艦隊しか知らないけど、これってまあまあの時間なのかしら。
司令が主任参謀にささやく。主任参謀が了解しました、と答え、そして声を張る。…参謀はオペラ歌手の才能が必要ね
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ