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提督はBarにいる。
鎮守府のバレンタイン事情〜オムニバス編・2020〜
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に問題は無く、呑兵衛達がウチの店の1ヶ月間の長期休業に堪えかねて飢えているという、何ともウチらしいトラブル?があった程度だ。

「にしても、今年も随分と届いてるなぁ……」

 執務机の横には、山積みの段ボール箱。中身は全てチョコレートだ。

「まぁ、darlingはモテるからネー。wifeとしても鼻高々デース!」

 えっへん、とばかりに金剛がその立派な胸を張る。仕事は出来るし、他の女にも寛容とか出来すぎじゃないですかね?ウチの奥さん。

「でも〜……darlingにはまずこれを食べて欲しいカナ?」

 そう言うと金剛は給湯室の冷蔵庫からチョコレートケーキを持ってきた。どうやら執務の合間を縫って、俺の為に準備していたらしい。切り分けると、ふんわりとオレンジの香り。それと共に酒精も香る。

「オレンジリキュール……か?」

「Wow!流石はdarlingネ。『グランマルニエ』をたっぷり入れてありマース!」

『グランマルニエ』とは。またいい酒を使っている。良くカクテルに使うコアントローと同じくらい……下手するとそれよりも有名なオレンジリキュールで、コアントローよりもオレンジ本来の香りや風味、苦味も強いのでお菓子の香り付けに使うならコアントローよりも向いている。

「どれ、早速」

 フォークで切り分け、一口頬張る。しっとり、ねっとりとした食感の中に、しっかりとチョコの甘味とオレンジの酸味、そして両者のほろ苦さがバランス良くやってくる。これならデザートとして食べるだけでなく、赤ワインやウィスキー、ブランデーなんかにも合うだろう。そう思い立って戸棚からブランデーとグラスを2つ取り出す。

「金剛、付き合ってくれるか?」

「of course!……デモ、立てなくなったら運んで下さいね?」

「任せろ、お姫様抱っこで運んでやる」

 鍛え直したからな。今なら部屋まで余裕だろう。

「……は、恥ずかしそうだから遠慮しときマス」

「今更だろ、この鎮守府じゃ」

 俺達夫婦だぞ?イチャついて何が悪い、寧ろ見せつけてやる。そんな事を考えながら飲んでいたら金剛が本当にノックアウトされてしまい、お姫様抱っこで運んだ翌日に真っ赤になってポカポカ殴られたのはまた別の話。
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