本編
本編7
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
わかった。
「しっかりつかまっててくださいね」
そう声がした直後、下からぶわっと風が吹き上げた。ジェットコースターに乗ったときのような浮遊感がして、私は思わず目の前にある彼のスーツをぎゅっと掴む。
遠くで警部さんが叫ぶ声が聞こえる。風の勢いが収まったとき、私はおそるおそる目を開けた。
「わ……すごい」
目を開けた途端に見えたのは、眼下に広がる夜景だった。マンションやビルの明かり、そして遠くにある観覧車のカラフルな光までもが、目の前いっぱいに広がっている。
見慣れた街並みなのに、知らないところを見ているようだった。今までのどんな高いビルから見た景色も、今日のこの景色には勝てないかもしれない。
「気に入っていただけましたか?」
「うん……すごく、気に入った」
景色を見ながら感嘆のため息を吐く私を見て、彼は満足そうに微笑んだ。
きっと、この景色は人生で一度きりだ。写真かムービーを撮りたい気持ちでいっぱいだったけど、レンズを通して見るのももったいなく感じて、そのまま景色を見つめ続けた。
心地いい風に吹かれながら、私たちは少しずつ地面に近づいていく。名残惜しく感じながら、私は最後まで周りの景色を見回していた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ