暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第2楽章〜約束の流れ星〜
第19節「完全聖遺物・デュランダル」
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、ヘクトールの武器でもあったとされているね。その黄金の柄の中には聖者達の遺骸の一部が収められていた、とも言われているご利益迸る剣でもあるね」
「えっと……要約すると?」
「金色の滅茶苦茶硬くて絶対折れないすっげぇ剣、かな」
「なるほど……凄い!!」
 翔のIQをかなり下げた説明に納得し、その凄さを理解したのを見て微笑むと、友里はデュランダルの説明を始めた。
 
「この二課の司令室よりも更に下層。『アビス』と呼ばれる最深部に保管され、日本政府の管理下にて我々が研究している、ほぼ完全状態の聖遺物。それがデュランダルよ」
 その説明を補足するように、藤尭が続ける。
「翼さんの天羽々斬や、響ちゃんのガングニール、翔くんの生弓矢のような欠片は、力を発揮するのにその都度装者の歌を必要とするけど、完全状態の聖遺物は、一度起動すれば常時100%の力を発揮する。そして、それは装者以外の人間も使用出来るであろうとの研究結果が出ているんだ」
「それが、私の提唱した櫻井理論ッ!」
 藤尭がそこまで説明を終えた瞬間を見計らい、了子はドヤ顔と眼鏡に手を添えた決めポーズでそう言った。
 もっとも、響以外の面々は聞き慣れているのか「やれやれ」と言った顔で流していたのだが。
 
「だけど、完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲイン値が必要なのよね〜」
「あれから2年。今の翼の歌であれば、或いは──」
「でも、そもそも起動実験に必要な日本政府からの許可っておりるんですか?」
 弦十郎の言葉に、友里が疑問を呈する。その疑問に対し、藤尭は深刻そうな顔で答えた。
「いや、それ以前の話だよ。扱いに関しては慎重にならざるを得ない。下手を打てば国際問題だ。米国政府が、安保を盾に再三のデュランダル引き渡しを要求しているらしいじゃないか」
「まさかこの件、米国政府が糸を引いているなんて事は……?」
「調査部からの報告によると、ここ数ヶ月で数万回にも及ぶ本部へのハッキングを試みた痕跡が認められているそうだ。が、流石にアクセスの出所は不明。それらを短絡的に米国政府の仕業とは断定できないが……」
 国際問題、とまで言われると内容が途端に複雑になり、響は話について行けなくなっていた。
 それでも、少なくとも二課が直面している問題はノイズだけではない。それだけは彼女にも理解出来ていた。
 
「……風鳴司令。お話中のところすみません」
 そこへ、緒川が眼鏡をかけながら現れる。
 その場の全員が彼の方を見ると、緒川は腕時計を指さしながら言った。
「翼さん、今晩はアルバムの打ち合わせが入っています」
「もうそんな時間か。すまない、私はもう行かなければ」
「だとすると、ミーティングはここまでかな」
 弦十郎がミーティングの打ち切りを宣言すると、翼は緒川と共に司令室を退出
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