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八条学園騒動記
第五百三十四話 宇宙の旅その七

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「実はな」
「何でもない」
「個人差でしかないね」
「だからその人の努力次第でか」
「何とでもなるんだね」
「人間の能力の幅は小さい」
 博士は落ち着いた声で述べた。
「運動能力も知能もな」
「人間は大きいと思っていてもか」
「違うんだね」
「実に小さい、だからな」
 それ故にというのだ。
「個人の努力でじゃ」
「どうにかなるんだな」
「それこそ」
「うむ、人種の違いはな」 
 十九世紀から二十世紀にかけて何かと言われてきたそれはというと。
「科学的根拠を言うとな」
「何でもない」
「個人の努力で何とでもなるものなんだね」
「普通に覆せる」
「そんなものでしかないんだ」
「そういうものじゃ、ただ今の連合は」
 自分達がいるこの国はというと。
「混血こそがいいと主張しておるな」
「ああ、それぞれの人種が混血してな」
「それぞれの人種のいい部分が合わさってね」
「それで人はよくなっていく」
「そう主張しているね」
「それでエウロパの人種を批判しているが」
 それでもというのだ。
「これも的外れじゃ」
「個人の努力次第だからな」
「純血とか関係ないよね」
「運動神経も知能も」
「どれもね」
「尚連合の者もエウロパの者も変わらん」
 博士は一切という口調で話した。
「運動神経も知能指数もな」
「やっぱりそうか」
「科学的に見るとそうなんだね」
「そうじゃ、連合は全ての国の平均知能指数が百を普通に越えておるが」
「エウロパもってんだな」
「そういうお話の展開だよね」
「うむ、実際にじゃ」
 その通りだというのだ。
「変わらん」
「やっぱりな」
「そうだと思ったよ」
「エウロパには貴族もおるが」
 今度はエウロパの社会からも話した。
「こちらもじゃ」
「変わらないんだな」
「階級によっても」
「その環境での教育は違うが」
 それでもというのだ。
「その能力自体はじゃ」
「変わらない」
「そういうことだね」
「その通りじゃ、だからな」
 博士は二匹にさらに話した。
「人種的偏見、民族的偏見はな」
「馬鹿馬鹿しいものか」
「科学的には何の意味もないんだ」
「そういうことじゃ、世の中何処でも悪人がおる」
 博士が嫌いな小悪党もというのだ。
「そして善人もおる」
「どっちもか」
「この世にいるんだね」
「連合でもエウロパでも」
「そして貴族でも平民でも」
「そうじゃ、しかも連合でとかく言われておる貴族は」
 エウロパ貴族、彼等はというと。
「前の戦争で一人も敵に背は向けなかったな」
「ああ、平民を護ってな」
「勇敢に戦ったね」
 二匹もこのことは知っていた。
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