第三百七十七話 秘めた意志その九
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「あと兎もある」
「鰐、ですか」
「そのお肉ですか」
二人は浅倉の返答に少しきょとんとなった。
「食べられるって聞いてますけれど」
「しかも結構美味しいって」
「そのお肉ですか」
「これは」
「そうだ」
浅倉はまた一言で答えた。
「だからな」
「食べるといいんですね」
「鰐や兎も」
「そうだ、ちゃんと味付けもしている」
塩、そして胡椒でというのだ。見ればどちらもしっかりとかけている。
「ソースもある」
「それじゃあですね」
「食べてもいいですね」
「そうだ、いい」
こう言ったのだった。
「だからどんどん食え」
「お酒もあるけれど」
霧島はビールの缶を開けている、そのうえでの言葉だ。
「あんた達は駄目よね」
「未成年ですから」
それでとだ、先生がそこは言った。
「だからね」
「ええ、だからね」
「この娘達にはですね」
「進めないから」
そのビールにしてもというのだ。
「だから安心してね」
「それでは」
「けれど先生は」
「ピーマン以外は」
「お野菜駄目なの」
「はい、ピーマンだけは」
どうしてもとだ、先生は霧島に話した。
「無理なので」
「そういう食べものあるわよね」
「誰でもそうですね」
「先生前からなんですよ」
「はい、実は」
ここで美森と園子が笑顔でこのことを話した。
「ピーマンだけはです」
「どうしても食べられないんです」
「それで私達も言ってますけれど」
「それだけは」
「そのことは」
先生は教え子二人に言われて困った顔で応えた。
「どうしても」
「気にするな、なら食うな」
これが浅倉の返事だった。
「食えないならな」
「そうですか」
「食えるものだけをだ」
「食べればいいですか」
「どうしても食えないならだ」
その場合はとだ、浅倉が言う言葉はというと。
「死ぬだけだ」
「死ぬ、ですか」
「俺の仕事はそうした時もあった」
「あの、浅倉さんミュージシャンですね」
「そうだ」
「では売れない時は」
「ああ、こいつは食えている」
そのことは大丈夫だとだ、高見沢が先生に話した。
「ミュージシャンの仕事でな」
「そうですか」
「何か仕事でサバイバルも受けていてな」
「タレント活動ですか」
「それの中でな」
「それで、ですか」
「こいつはそっちの仕事もしていてな」
それでというのだ。
「その中でだよ」
「こうしたことも言われるんですか」
「それにこいつは何か色々改変されるまでは凶悪犯で野良犬みたいに生きていてな」
高見沢はかつてのライダーバトルの話もした。
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