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ユア・ブラッド・マイン 〜空と結晶と緋色の鎖〜
第2話『歪む世界』
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その緩みにつけ込むようにアレが訪れた。 視界が歪み、影が溢れ出る。 縦横無尽に荒れ狂う影に壁が、床が、空が砕かれる。 平衡感覚が失われ、身体中を浮遊感が包み込む。 もはや自分が立っているのかどうかも分からない。

深い

  深い

    闇に

      落ちて

…………



「……先輩?」

その声でハッと我に帰る。 いつのまにか立奈が目の前に立っていた。

「どうかしましたか? すごい汗ですけど……」
「いや……なんでもない」

自分に言い聞かせるようにして言う。

「なんでもないって……そうは見えませんけど……」
「本当に、大丈夫だから。 それより、何か買い物があったんじゃないか?」
「むぅ……」

納得はしていないようだが一旦引っ込めコンビニの奥へと消えていく。
完全に油断していた。 これだけ大きいのは久しぶりだ。
今、玲人に起こった現象が『歪む世界』だ。 内容に関しては個人差が大きいが、少なくとも玲人にとって『歪む世界』とはアレを意味する。
影という影が形を変え、全てが崩壊していく世界。
そんな世界でも意識すれば見えないようにできる分マシな部類だろう。 歪みが大きい場合は実際に肉体への影響が現れて日常生活に支障が出る可能性もあると聞く。
頭を振って未だに残る浮遊感を振り払い、集合場所に戻る。 ちょうど輝橋が到着したところのようだ。

「輝橋……」
「おっ、おはよー草場……ってすっげぇ顔だな。 寝不足?」
「似たようなもんだ」
「そっかー。 かく言う俺も昨日の夜はマイエンジェルがなかなか寝てくれなくてさー。 実質6時間しか寝てねーわ」
「この上なくバッチリじゃねぇか……」
「なんだ、さっきは寝不足なんて言ってなかったじゃないか?」
「あー、えっと……そういえば武蔵野先生と如月さんは?」

見回してみると先程までは居たはずの武蔵野先生がいない。 それに輝橋がいると言うことは如月も一緒に来ているはずだ。

「んー? そこの木陰で休んでる」

輝橋の指差した方では、武蔵野先生に膝枕されながらうちわでパタパタと風を送られている女性がいた。 輝橋のパートナーの如月羽音(きさらぎはね)だ。 真夏だというのに長袖のパーカーを羽織っている。

「クソ暑いのにあの格好じゃああなるだろ」
「一応魔鉄織り込んだ特別製だからあんま暑くないと思うんだけどなぁ」

苦笑いを浮かべる輝橋の足元でリュックサックが口を開いている。 そこからは経口補水液や塩キャラメルを始めとした大量の熱中症対策グッズが顔を覗かせていた。

「随分と大荷
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