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リリなのinボクらの太陽サーガ
天空のアビス
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る。だけどファーヴニルなどの事情が重なった結果、そのしわ寄せがシャロンに降りかかったのは災難だね」

「そもそも昔から管理局が何か目論んだり作ったりしたらどこかに、あるいは誰かに災難が押し付けられてる。もうあの組織は何もしない方が世界は平和になるんじゃない?」

「しかし何もしなかった所で世界は勝手に荒れる、過去の遺産が引き起こす騒動のせいで。過去の人間の尻拭いに次ぐ尻拭い、その対策として行った計画が更なる諍いを生み、後世に遺恨が残る。その遺恨を未来の人間が尻拭いする、怨恨の輪廻。こんなもの、どうしたら断ち切れるのだろうかね」

「さあね、こういうのは私自身もう断ち切れるものじゃないと思う。シオンだって同じ考えでしょ。それでもどうにかしたいなら、いっそそういう輪廻が作られないように時間を巻き戻すしかないんじゃない?」

「しかしだね、時間はビデオテープのように簡単に巻き戻していいものじゃない。いや、下手に巻き戻してしまえばむしろ変に絡まって取り返しがつかないことになるものだよ」

シオンが言ったことは、実質的を射ているのかもしれない。ツァラトゥストラの永劫回帰で世界は何度もやり直されているが、そのせいで今この世界の未来は過去へ繋がり、時間が絡まりあってしまった。本当の意味で未来へ進む道が失われているのだ。

ただ……この返答に私は疑問を抱いた。どうもシオンの言葉は、ツァラトゥストラの永劫回帰を暗喩しているようにしか聞こえないのだ。彼女は電子戦のスペシャリストでもあるが、流石にツァラトゥストラのことまでは知らないはずだ。

「シオン……あなたはどこまで知っているの?」

「フフッ、私が知っているのは誰かさんが知っていることだけさ」

「ふ〜ん? 煙に巻こうとする辺り、シオンは手練れの嘘つきだね。嘘つきはスパイの始まりとも言うけど、そこん所どうなの?」

「へぇ、私を疑うのかい?」

「別に……どんな善人だって嘘の一つぐらいはつく、現に私だって嘘をついてるんだから」

「ほう? シャロンの嘘とは、中々興味があるね?」

「興味を抱かれた所で、答えはしないよ。だって私の嘘は、私自身のためなんだもの」

サバタさんのように、誰かを守るために嘘をついたのではない。私のは……そう、弱い自分を隠し、強い自分を演じる。ただ、強がってるだけの嘘。本当の私は臆病者で、弱者で、一人じゃ何も出来ないけど、周りには戦って突き進める人間だと知らしめるように、無理やり背伸びしているだけだ。

もし今、その嘘が剥がれて本当の私が露わになったら、本当に何も出来なくなる。そうなったら私諸共この世界は蹂躙され、全ての尊厳が地の底に堕ちるまで凌辱されることだろう。

「ただいま、シャロン。頼まれたことやってきたよ」

「おかえり、
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