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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
幼馴染との契約
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せている。周知メールでの注意勧告だけはされているが、それも相俟ってまた、都市伝説とは思い難いのだ。
魔剣は誘拐魔と言われている。超能力を扱う武偵──武偵用語では超偵──のみを誘拐し、自らの手駒に成り代わそうと暗躍しているらしい。しかし存在は未だ確認されておらず、だからこそ都市伝説という説も大多数に蔓延している。これが現状だと言わざるを得ないだろう。

しかし自分には到底、それが都市伝説めいた話だとは思えないのだ。アリアも恐らくはそうだろう。というのも、魔剣の存在が方々から聞こえてきたのが、数週間前──峰理子によるハイジャック事件を解決した、その後になる。理子の背後には《イ・ウー》が暗躍しており、更には武偵殺しと入れ違うようにして武偵界隈を震懾させた、魔剣といった新たなる噂話……。果たしてその可能性も無きにしも非ず、といった具合に受け止めていれば良いのだろうか。

白雪は先程よりも僅かに語調を強めて告げる。「ですが、先生。魔剣の存在はデマに等しいのでしょう? それに、いくら超偵を狙うとしても……です。私よりも優秀な超偵は、居ますから」
自分自身もまた、超偵であるのだ──と彼女は示唆した。S研所属ということからも明々白々ながら、少し奥を辿ると、彼女の家系は代々で青森にある星伽神社の巫女を務めている。

しかし星伽の巫女は、従来の巫女と比較して異質だった。何処の神社でも、神主や巫女は多かれ少なかれ御神体を守るものだが、星伽神社は2000年ほどある長い歴史の中で何をどう間違えたのか、御神体を武装して守っているのだ。武具を用いた武装はもとより、『鬼道術』と呼ばれる能力をも駆使しているのだとか。それが、一族が伝統と共に継いできた能力でもある。キンジから聞くところによれば、白雪が頭に装着している白帯が、その制御装置足り得るのだとか。


「星伽ぃ、あまり自分を過小評価するんじゃないよ。お前が思う以上に、星伽白雪っていう人間は優秀な武偵であって、超偵なんだ。だから、前から何回も言ってるけど──ボディーガードを配備しろ。……この警告は3回目だぞー。仏の顔も三度まで、ってな。意味は分かるな?」
「……はい。重々、存じ上げております」
「まぁ、分かったならいいや。因みに、ウチら教務科も、こういう警告は何人かにしたことがある。けれど実際問題、最悪の事態には殆ど誰も遭遇していない。けれど、『殆ど』なんだよ。いいか? 前例のある以上、過保護な大人の都合には従ってもらわないとなぁー」


綴はそう言いながら、葉巻の先を灰皿の底に押し付ける。口元から洩らした紫煙には厭わず、気だるげに両腕を回していた。「んじゃあ、そういうわけだ。となると、お前のボディーガードを誰にするかが問題になるねぇ……」そんなようなことを呟きながら、彼女は首の骨を鳴らす。
──そ
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